ソラリス Solaris 2002年 アメリカ
監督/スティーブン・ソダーバーグ
ジョージ・クルーニ,ナターシャ・マケルホーン,デレミー・デイビス,ヴァイオラ・デイビス,ウルリッヒ・トゥクール
★★★
「ソラリスの陽のもとに」レフ著,が原作で,過去には『惑星ソラリス』タルコフスキー監督で製作されているそうだ。
惑星ソラリスの探査をしているプロメテウスでは異変が起き,地球とのコンタクトが取れなくなっていた。そして乗組員ジバリアンから,心理学者のクリス・ケルビン(クルーニー)あてに,こちらに来てくれとメッセージが入り,調査に向かうことに。
到着するとSOSを送ってきたジバリアンは遺体となっており,二人の乗組員のみがいるだけで他の乗組員も自殺してしまっていた。
夜になればわかる,と言われたその夜。
自殺のため死んでしまったはずの妻レイアが,ロックしていたはずのクリスの室内にいつのまにか居た。彼女はなぜ自分がここにいるのかが分かっておらず,自殺したことも記憶にはないようだった。
肉体も記憶もある,すでに死んだ人間が目の前にいたのだ。
クリスは彼女をステーションから宇宙へ放出。
そして二日目の夜。うとうと寝て,目を覚ますと,そこには妻レイアが再び室内に。昨日の記憶はなく,やはりどうやってここに来たのかも記憶がない。
死んだ人間が目の前に現れるのは間違っている,とレーザーのような装置で彼らを消し去るという科学者。失ったはずの妻を二度と失いたくないという執着から,賛成できないクリス。
危険なことだと理性では分かっていても,どうしても温かく美しい妻を処理することができなくなってきていた。
自分というものが,本当に間違いなく自分自身であることをう疑い始める不安感は,妻のレイアがになっていて,どうやったら保証してもらえるのか,これはアイデンティティの問題?
自分がクリスの記憶から生まれたものであると自覚した彼女は,自ら装置で消し去るよう願いでるが,クリスによって阻止されたため,薬品をかぶって死のうとするが,照射以外の方法では生き返ってしまい,まさに死にながら生きている状態。
ほぼ妻であるこの目の前のものを,妻であるとして執着するクリスは,愛の名の下に生死の境界を守ることを放棄。
最終的には,地球へ帰る船に乗らず,ソラリスへと落ちていくステーションとともに残った。
・・・アメリカ人は本当に何でもかんでも,愛の話にしてしまう!
原作も前作も読んでいないけど,たぶんソラリス的なもの,とか神の問題とかを扱っているはず。たぶん。
不安定になっていた妻は,妊娠したことをクリスに言わずに堕胎していた。もはや彼女を受け止めきれず,ケンカの挙句,生きたくなければそれでいい,的なことを言って家をでてしまい,少し後に帰宅してみるとレイアは自殺していた。
そういう負い目もあって,本物でなくても本物だと思うことにしたい,と思いが暴走。そこで自分はニセモノだから消し去ってほしいという彼女のほうがまともな判断である。
深遠なテーマと思わせておいて,意外とクリスの愛妻を失ったことによる喪失感,虚無感,後悔をソラリスが囲い込んでしまうという話のようでした。
クリスの記憶からレイアが生まれたのならば,彼女といることは過去の思い出のなかに閉じこもることです。それは,自分の人生を生きているとは言い難い。
レイアとの出会いや生活のシーンも予告なしにすっと入ってくるので,どれが過去のものか,どれが現在のものか,どれが想像のものか,混乱するように仕向けられています。こうなると,最初からすべてクリスの心象を見ているといえます。
<わたし>はどこにいるのか,誰かの記憶のなかでしか見つけられないものなのか。
クリスのこじれた愛とともに,これがテーマだったのかと思います。