2014/12/07

『インターステラー』

 Interstellar 2014

Matthew McConaughey
Anne Hathaway
Jessica Chastain
Bill Irwin
Ellen Burstyn
Michael Caine
Matt Damon

Director/Christopher Nolan
Music/Hans Zimmer

映画館で見るのに相応しいスケールの映画、冒頭に老人たちのインタビューがあるせいもあって、全体的にドキュメンタリな雰囲気あり。しかもNHKの科学番組みたいに、現在の科学が考える宇宙空間の表現に手ごたえというか、現実感があるのがスゴイ。

ノーラン&音楽がハンス・ジマーだったのでもっとドカーンと盛り上げてくるのかと思いきや、詩情豊かにむしろ静寂を大事に美しい宇宙空間の映像にそっと寄り添う音楽でした。やるなー。

日本の広報としては、父子愛の物語をメインに宣伝していて、間違いではないけれど、雨中へのロマン、未知なる世界への憧れを掻き立てるような宣伝もしてほしい。

縦軸には、もちろん主人公マコノヒー演じるクーパーと、娘マーフとの強い絆があります。いつ帰ってくるかも分からない(帰ってこれないかも)ミッションに参加すると決めた父への失望、怒りできちんと挨拶しないまま離れ離れになってしまった父娘。父は遠い宇宙で、娘は地球で、自分たちが生きる人類を絶やさないことを目標に頑張ります。

・エンジニアでNASAパイロットの父。すごい秀才でした。相対性理論もいちおう分かってるよらしい。すごい。娘にも理論的に思考することを日々説いてます。で、これがのちのちの伏線に。
・娘の成長した姿が、ジェシカ・チャスティン。砂嵐のなか立つ姿は『ゼロ・ダーク・サーティ』を思い出させ、チャスティンなら絶対にやり遂げるだろうという期待がますます高まります。不屈の女にぴったりの闘士の顔。

地球滅亡から人類を救うための新天地を探すという、途方もないミッションと、父娘の愛情という個人的な物語が、破綻なく無理なくラストで合流するあたり、私も“ユリイカ!!”と叫びたくなる衝動に駆られました。いろいろ困難がありすぎて、地球にいたころの話のことに気を向けてませんでしたが、そうなのねーという繋がった!嬉しさ。

『インセプション』でも構造解説の場面が好きですが、あの5次元空間は、ハイライトでしょうか。次元を超えられる存在・・・の一端をクーパーは感じて、メッセージを送ります。ここで簡単に会えないのがツライ。STAY! このあたりは、いわゆる日本版宣伝の肝になる場面でしょう。素直に泣いた。
ただ、泣く、ということ以上に映像がきれいなのが、素晴らしい点。人間の崇高さも声高にではないけれど、信頼すべきものだと訴えている。

ところで、小学生くらいのころに読んだ4次元世界に突如飛ばされる男の話、非常におどろいどろしい表紙で、怖かったことだけが記憶に残っている。読み直したいけど、当時ですら黄ばんでいた本なので難しそうなのですが。つまり文字で4次元、5次元の話を読むのは分かりにくく、かつ何だか恐ろしいものだとずっと思ってきたのです。
でもこの映画のお陰で、ちょっと恐怖が薄れたかも。

最後、アン・ハサウェイ演じるブランドがひとりついに見つけたかの惑星で、恋人を埋葬し、長い眠りにつこうという場面。宇宙服のマスクは取られ、空気も清浄であることが示されています。こここそ、みなが求めた新天地。

ブランドは、クーパーがガルガンチュアで自分を生かすために離脱していったのを見ているので、クーパーが自分を迎えには来ないと知っているが、地球から誰かが迎えにくると希望を繋ぐ場面です。来ないかもしれない・・・というか、来ないほうに賭ける、という場面ですが、ブランドの表情は哀しそうでもあり嬉しそうでもあり。

ところで、事前の出演者情報にはあまり目だってなかった、マット・デイモンがオイシイ役で登場してきました。氷の惑星で、生存可能な星であると嘘の報告を地球に送ってスリープしてた科学者、マン役です。
他の場面では丈夫だなあと思う宇宙服が、なんと人間同士、マン博士とクーパーが頭突きしあうと、ヘルメットの前面が割れて空気が漏れ出す(&アンモニアの多い惑星の空気が入ってくる)緊急事態。そんなゴッツンゴッツンしただけで、ヒビ割れてしまうの??
怖いわ・・・ ちょっと笑っちゃった。

これと思った惑星が住むには相応しくないと知って(この旅は一方通行なので帰還できない)、自分の生存のため、自分の欲のため、嘘をついてしまった人間。父ブランド博士も死に際に懺悔しますが、人間の弱さを感じさせる二名のあり方でした。

マイケル・ケインが飛び立つクルーに向って詠唱する詩、これが危険な任務につくものたちへの励まし?と思って聞いていたら、クーパーの危機においては、まさしく鼓舞する詩となり、悔しいがカッコいい。
作者が詠んでいるのがあった。いい声!

しかも、宇宙船乗っ取ろうとして母船破壊する悪行の限りをつくしてしまうマン博士。すごい隠し玉でしたね。なにもかもをぶち壊し、破壊王であった。

地球の自分と同じ年になっている娘マーフから、人類は救われないのだとブランド博士が知っていたことを知らされ、大ショックのあとも、まだ可能性はあるかもしれないと希望を捨てないクーパーらがカッコよかった。よくアメリカ映画ではパニックになって騒ぐ人が登場するが、クーパーとブランドは選ばれし者であって、冷静に最善を尽くそうとします。宇宙に飛び立つ人はこうでなくては。

輪になる感じ、きっとどこかで何か見ているはず・・・という既視感が強かったのですが、何なのか全く思い出せません。終ってみれば、ものすごく奇をてらった話ではなく、むしろあり得る物語として製作されたことが、SF映画として考えた場合、ものすごく深いなと感動が起こってくる。秘密道具もなしで、現実感を失わずにSF映画を作ったノーラン監督、やったなー!
ものすごく冒険してるのに、冒険モノというよりも科学的な面が心に残るとかね。

それから。あのロボットたちが可愛すぎるうえに、ブランドを助けに来るすばやさには海兵隊員のマッチョぶりも備わっていて、もうもう! 我が家にも一体欲しいです。ミニチュアあったら飾りたい。あの造形は素晴らしいアイデアだ。TARSとCASE、名前もかっこいい。