2007/11/26

『B型陳情団』奥田英朗

B型について書いたのかと思い読んでみた。単に、奥田英朗がB型だったのでこういうタイトルになったらしい。もとは、モノ・マガジン掲載の「モノモノしい話」というコラム。



ひねくれた感じが、若いんだなと思わせる。いろいろとんがってて良いです。
伊良部シリーズくらいしか奥田英朗の作品は読んでないけど、彼の文章は冷静さと気合があって好きなほう。



当時の身の回りのことを書いているので、バブルっぽい話とかも多くて時代を感じます。野球に関する話は怒りつつ、まともで拍手。みんなで同じ応援をするのはいやだとか、本当に素晴らしい選手なら外野同士のボールまわしさえも、芸術的な球と捕球の音がする、という話。



全然モノの話も出ないし、ぶつくさ反抗してるキャラなので、モノ・マガジンで連載だったというのが面白いかも。









『ZOKUDAM』森博嗣

Zシリーズの続きかと思って読み始めて、何だか違和感が。この後に『ZOKU』を読み返して違和感の原因は判明。



ロミ・品川、ケン十河、バープ斉藤、揖斐くんと野乃ちゃん。登場人物の名前と何か悪と闘うのね、という設定は同じだけど、ロミ品川とケン十河は、この話で初対面、ってことになっている。だから、続編ではない。



しかも、『ZOKU』ではくだらなすぎる悪事を働くことを目的にしょぼい工作活動をしていた「ZOKU」だったが、こちらではロミやケンたちが正義の味方らしい。Zワールド、というのかZなパラレルワールドというのか。



そして物語は遊園地の地下に(どれだけ広いのやら・・・)作られたロボットZOKUIDAMの秘密基地へ、乗組員となるべく配属されたロミとケンのぼやき、あるいは恋物語、で、シチュエーション・コメディとなっている。『ZOKU』はオチもつけてたので、かなり違うかもしれない。



最後まで闘いが始まる様子はなかったし、話の行き先もあるようなないような。もしもZOKUDAMを作ったら?という想像をしてる雰囲気です。



森博嗣の言葉の選び方とか、屁理屈のこね方が好きなので楽しめた。でも、それに興味がない人にはつまらないかも。



野乃ちゃんにほのかに恋、のケンのオタクっぽさが何とも意外とリアルな雰囲気なのがー。30代としては、ロミ・品川に頑張ってケンを奪ってほしいものだと思いつつ読む。奪えなかったみたいですが。



2007/11/03

『ZOKUDAM』森博嗣



「インヴィジブル・リング」

紅玉の戦士
『翠玉の魔女
灰色の女王



アン・ビショップ/著、原島文世/訳 中央公論新社





インヴィジブル・リングシリーズ全3冊、何となく読んでしまった。3冊も! とてもつまらなくてビックリ仰天だった。人気のあるハーレクイン作家のほうが面白かったかも、と思うくらいにつまらなかった。ヒドイ。自腹で買ったら3.000円するのか。恐ろしい。



登場人物が多いのに、動くのは6名くらいか。危険な旅を続けるメンバーだってのに、全然かまわれてない子どもたちとか、かまわないなら出さなくても良かったくらい。
薄っぺらな人物造型なのに、名前が似てるのもいやだ。ブレイドとブロック・・・最後まで区別できず。



ファンタジー世界の設定は、わりに面白いのに物語と文章があまりにひどかったので、余計にどうしてくれよう!の気分が残る。



『太陽の塔』森見登美彦

ISBN: 978-4101290515  2003.12発行



☆☆☆☆



日本ファンダジーノベル大賞受賞作にして、登美彦氏のデビュー作。



まなみ号、男汁、ええじゃないか・・・筆が進んだらしきところ(語り口がのってるとこ)と、とても内省的なところがいい具合だった。
森見登美彦のこの線の語りは好き、楽しみました。根詰めてツメツメになっていない勢いが残っていて、良いよい。



我々の日常の九〇パーセントは、頭の中で起こっている」。名言。その90%を文字にするとこうなるの。



水尾さん研究と称したストーカー(本人は否定)のような行為が物語の主かと思ったらちががった。異性と交際すること、クリスマスを恋人と過ごすこと、素敵な誰かを好きだったこと、共有できたかもしれないこと、決っして共有できなかったこと、そうして過ぎた日のこと、を何度も何度も思い返して自分を納得させている話なんだと思う。



失恋してしょげて、でもまだほんわか好きで、まだそんな自分をどう落ち着かせたらいいのか分からないみたい。
水尾さんをめぐって、常に<私>をぐるぐるとまわる。四畳半を男汁でいっぱいにしながらも、自分を肯定する姿勢がすがすがしくもあり。ほとんど自分と重なりそうで、懐かしくもあり。



まだまだ先だろうけれども、きっと誰かと深く見つめ合うような物語も書いてくれると期待してます。