2008/04/03

『アヒルと鴨のコインロッカー』伊坂幸太郎

ISBN:4-488-46401-7(創元推理文庫) 東京創元社 2003年刊の文庫



☆☆☆☆



うまく出来てる、またまた読み終わってすぐに最初から読みたくなる。小憎らしいー。
ただ、ペット殺しの話がからむのが辛い。理由もなく、理解もできない悪意というか。悪魔的行為って本当に恐ろしいです。



主人公の椎名はまっとうで心優しい凡人で、彼が触れる物語に登場する強烈な悪のかたまりが。このギャップが激しくて、くらくらします。



二つの物語が、交互に仙台の街で進んでいきます。
ひとつめは、椎名が新・大学生として仙台にやってきて、引越しの日に出会う「カワサキ」との書店襲撃と、椎名の新しい生活の物語。
ふたつめは、2年前の事件。「わたし」と、ブータン人の「ドルジ」と、わたしの元彼「河崎」が、ペット殺しの犯人とかかわっていく物語です。



二つの話をつなぐのが椎名で、彼はなにが語られているのか分からない。自分がなぜ書店襲撃をしているのか、それも分からない。
読み手はほぼ椎名の目線で事件の全体をつかもうと、物語の展開を読み進めていくことになります。



ちらっと出てきた伏線も(当然伏線なので、最初に読んでるときにはどんな意味あいのことなのか分からない)、最後にそうかー、と納得できて、ふふっと嬉しくなります。



悪を追放したとか、懲らしめたとか、そういうすっきりした感じにしないのが、妙な読後感につながりました。悪意を根絶することはできない、という切ない気持ちが残ったあたりで読了。哀しい。
登場人物たちも、それぞれの人生を送っていくのね・・・と意外とドライに終った感じでした。



No animal was harmed in the making of this novel.





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