ISBN:978-4-08-771303-9 2009年 集英社
☆☆☆☆
京都、祇園祭宵山の一日をめぐる短編連作小説。どこか別の作品で会ったあの人も登場する手塚治のようなお楽しみもありながら、お祭りの持つ華やかさと禍々しさが溢れています。
馬鹿だから、とだまされる男の「宵山金魚」と騙す側の「宵山劇場」は、明るい学生ノリのモリミー節を。
不思議世界に少し怖い気分、別れの寂しさを盛り込んだ「宵山回廊」「宵山迷宮」は、『きつねのはなし』的なモリミー。
そして最初と最後にはさまれた姉妹の「宵山姉妹」「宵山万華鏡」が、うまく宵山の出来事をまとめています。
たぶん、これからもっともっと花開くと期待したくなるのが森見さんの作品。
これが傑作!とまではいかない理由は、初期に大暴れした森見節(文語調の語りくち)と、幻想的な物語とのはざまにあるからなのだと思います。
飄々としながら、幻想を語ってほしい、と期待をこめて4つ☆。