2014/04/29

『LIFE!』

2013年 LIFE!

☆☆☆☆☆

ベン・スティラー/製作・監督・主演
クリステン・ウィグ、ショーン・ペン、シャーリー・マクレーン、アダム・スコット、
パットン・オズワルト、キャスリーン・ハーン

こういう映画が好きだ。普通のひとの、素敵な出来事。ベン・スティラーのプロフィール見て今、いま気づいた。『リアリティ・バイツ』監督したということに。好きだったなぁ
すっかりベン・スティラーも好きになった。

白髪まじりの短めヘア、節制してるよねという体型も素敵だ。
キャラ設定も、いい年して、空想。妄想が止まらないところなど、オレのことか・・・と前のめりになってしまう。

ヒマラヤでも携帯電話がつながる時代に、探す写真家にだけ会えない設定も、シンプルながら人と人のつながりについての変化を見せるうまさ。

そうそう、だってほんの少し前までは、こうだった。
兼高かおるさんの番組にときめいた日曜日の朝みたいに、ドキドキしながら主人公・ウォルターの冒険を見守った。
世界は広いし、誰かとつながることも、簡単じゃない。

スケボーが超絶うまい設定には、そんな隠し玉が・・・!(うらやましい) だけど、誰にでも得意なことあるでしょって言ってもらったとしよう。あったかな。

ショーン・ペンがまた追いかけたくなるようなカッコいい写真家で、ほとんどラストにようやく出会うところでしか登場しない奥ゆかしさ。
こういうカッコいい男に、君のおかげだ、信頼していた、と言われる喜びといったら、これまでの仕事すべてが報われるとはこのことかという感動だ。

認められ、必要とされる仕事をしたいっていうのは、誰にもある欲求ではあるけれど、なかなか叶えられないことも多いかと思う。ウォルターのように大事な仕事だけど表に出ないような業種だと特に。

その一歩がなかなか難しいんだ、と思いながらも、もしかして、何かのときに私の背中を押してくれるんじゃないか?と思うような素敵な作品でした。

シャーリー・マクレーン演じるママもチャーミングでした。家族が温かそうなのも、ほっとする点だったな。

音楽も素敵。Jose GonzalezのStep Up 壮大なイメージのオープニングでカッコイイ。サントラ買おうかしら。
そしてウォルターを揶揄ったり、勇気づける歌にはDavid Bowie のSpace Oddity
Jack Johnson1 も使われていて、私好み、ど真ん中すぎ。

映像的には、アイスランド、グリーンランド、ヒマラヤ。人気のない風景の清々しさ。

ヒマラヤ登山には少々軽装じゃないかと心配したけど、映画だからね。あんな高地でサッカーなんか、私には到底できないですが、映画だから許す。というか、ここの場面までの流れが良かったので、全然気にならないわ。

視点が空から、地面から、水平、潔い構成なのもすっきりしてます。ライフ社の会社前の俯瞰映像も、きれいでした。タイトルをOP映像にはめ込んでくるのも、押し付けがましくないオシャレ具合でにくいぞー、ベン・スティラー。

衣装も好みでなー。何もかも好きだ。

2014/04/13

『マグノリア』

1999年 Magnolia

監督/Paul Thomas Anderson

封切り時に見たはずだけど、全然内容は覚えていなかった。というわけで新鮮な気持ちで鑑賞。

出演者はじめ、Paul Thomas Anderson監督は好きなんだと思う。イケてない(なさ過ぎない)人々が多く描かれるところとか、音楽とか。表情アップも多いと思うけど、あんまりイヤじゃないのも不思議。

カタルシスのない普通の人の一日を切り取る取った場合の、映画的なカタルシスが蛙なのか。蛙が降ったからハッピーになったとか、不幸になったとかではなくて、何かのきっかけになったかもしれないけれど、ただそれだけ、という全ての価値が対等に扱われている感じだ。

公開時の扱いは、エンタメ映画とは違うぜという雰囲気だったと思うのだが、いま見直してみると、重々しい出来ではないあたりが、程よい見易さかと思う。

イケイケで語るトム・クルーズが可愛いし。
先日亡くなったフィリップ・シーモア・ホフマンもいい。
少しずつ、少しずつ追い詰められていく人々を淡々と見せていきます。

上映時間は3時間越えで、これは退屈、という感想も多かった。考えてみると、ジュリアン・ムーアの役がよく見るハリウッド女優ぶち切れ演技だったものの、他は静かにキレる人が多くて、その点も退屈さを感じさせてしまう要因だったかと。

じわじわと、何気ないことでも大事件でも、とにかく自分の過去と自分自身からは逃れられず、その体を持って生きていくしかない。

こんなに愛があふれているのに、与える相手がいない、と嘆く元子供クイズ王の嘆きは、最後の最後で胸を打つセリフだった。
与えられる相手がいるのは幸せね。

何でタイトルがマグノリアなのか・・・知りたい。

2014/04/06

『世界にひとつのプレイブック』

Silver Linings Playbook 2012

監督/デヴィッド・O・ラッセル
ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、
ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー
クリス・タッカー

☆☆☆☆

妻の浮気現場で躁うつ病の爆発が起こって、浮気相手をめった打ちにしたパット(B・クーパー)と夫を亡くしたショックで会社中の人間と寝てクビになった、というティファニー(J・ローレンス)を軸に、
ラッキーアイテム病の父(デ・ニーロ)、優しい母(ウィーヴァー)や友人、主治医とのかかわりのなかで病気から快復していく姿を描く。

邦題が悪い。

「プレイブック」がアメフトのフォーメーションを書いた本だなんて、調べないと(映画見ても)分からなかったもの。アメフト狂いの父にちなんで、希望をつかむための戦術本、ってことなんですね。

見るまでは、病んだ人々が演劇セラピーで立ち直る話なのかと思ってました。プレイ、だから演劇かと。
アメフトを知ってる人しか意味がつかめないので、もう少しマシな邦題にしておいてほしかった。

病んでるパットが痛々しくて、海外の映画館では爆笑が起こったとか信じられないのですが本当か。彼が自分の家族だったらツライよー。妄想で同僚と妻を訴えて、何かが気になるとどうしても完遂しなければ大声でわめく。ああ、ツライ。

それに比べたら、ティファニーは自分自身を痛めつける系の病み方で、同じように痛々しいものの、それでも自分を受け入れるというところまで既に快復してるので、少しは楽でした。

同じ苦しみを経験している者同士、お互いを尊敬しあって支えられる二人に成長していきます。

B・クーパーやクリス・タッカーの表情がハイなあたりで停止している真顔(目が見開いている)が、真に迫る病んでるなぉという表情でした。
青い目とチャーミングな顔立ちが、これまた

アメフト競技場に暴力事件を起こして立ち入り禁止で、かつ迷信、きっちり病の(病気ではないけど)父と、入院措置の息子パットとの違いはわずか。わずかだけど、越えてしまったものは痛々しいのだった。父は、イタイ人。息子は痛々しい人。

J・ローレンスのティファニー、基本的には静かで我慢強い人を好演。我慢できるから、辛くなって誰彼かまわず寝る、という行動に出てしまうのでしょう。
初めてこの方の演技を観たけれど、確かにこれはアカデミー賞取るなぁといういい俳優です。ダンス会場でパットの妻を見たときの怒りが沸騰してくる表情、100点! 声が低めなのも、いいですね。キイキイいわなくていいわ。

ダンス練習場面でふわふわ揺れる胸が、ほんときれいだったなぁ 若い娘さんのふわふわ・・・
筋肉もあるけど、脂肪もついててキレイよー。

ラストで普通にロマコメ展開になったのは、アメリカ人だから仕方ないねと思うけれど。私の好みは、アイラブユーって言わないで済ませてほしかった。
言わなくて伝わってる、という二人を見たかった。

2014/04/01

『L.A. ギャングストーリー』

Gangster Squad 2013年 アメリカ

監督/ルーベン・フライシャー
ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ニック・ノルティ、エマ・ストーン、ショーン・ペン
ミレイユ・イーノス

☆☆☆

実話がベースになっているとのこと。戦後まもなくのLA、暗黒街を牛耳るミッキー・コーエンの組織を壊滅させるために、非公式の組織が警察内につくられた。
生死は問わないということで、警官でつくった自警団ってところか。

グループを作り、コーエンを追い詰めるところまではテンションあがる展開。
最後は、なぜかコーエンと素手で殴りあう青春映画のようになっていたのが肩透かしでした。二人ともどうしたの? 警官としてなら、逮捕すればいい。そもそも逮捕状持っていったんだから、逮捕しなよ。あれは、どういう意図があってあの展開になったのやら。

映像的には、スタイリッシュを目指してなさそうなのに、時々かっこつける映像が入るのが面白かった。不思議なバランスがあったわ。

エレベータの箱の外に手を出させて、手を轢いてぶち切れさせるのは初めて見たかも。コーエンの残虐を見せるためか、昔の処刑みたいに手足を両方から車で引っ張らせて胴体真っ二つの刑・・・ぎゃー。

コーエンの女に恋する警官(ライアン・ゴズリング)が最初は世渡りしていこうぜ的な風を装っていたのに、靴磨きの少年が銃撃の流れ弾で死んでしまって、急にオレもやるぜになるベタな展開は愛嬌で。他にもとことんベタな展開なわりに面白かったのは、かっこつけきれない監督の自意識のおかだったのかしら。残虐なのに、なんかバカで笑える感じなの。

カッコよかったのは、リーダーのオマラ(ジョシュ・ブローリン)の妻。ヒーローより夫が必要なの、生まれてくる子供のためにも、危ないことはやめてとかいいつつ。
夫の決意が変わらぬとみるや自らチーム人選に乗り出し、いかに夫を支え守ってくれるかどうかで選ぶ。成績優秀な出世中の警官は、真っ先にコーエンが買収してるだろうから、一匹狼がいい等という。勉強になります、奥様。

オマラが自宅に急行して飛び込んだら、床には血の跡。奥様が!とショック受けてたら、逞しい奥様はバスタブ内でお子様を自力で産んでいた模様。
銃はもたないけど、この奥様と目撃証言をした愛人の二人こそ、強かった。

盗聴担当のマイホームパパがコーエンの返り撃ちにあって死んでしまう。彼はオマラのやり方が荒すぎると言っていて、オマラもそれは聞いてくれてたが、結局正義は自分のほうだと思って使う暴力は、素直に正当化するオマラたち。甘いこと言ってんじゃねぇと怒られそう。
さすがアメリカ人の考えることは違うなぁ

ギャングとの抗争なら、やっぱり『アンタッチャブル』がカッコイイし、物語もうまくできてたけれど、強いものが正義と胸を張る人たちの映画もまた、そうですか・・・と面白いものだと思う。

あと、なかなかの邦題でしたね。わざとクラシカルな邦題風にしたのだろう、とポジティブに捉えておきます。