2008/05/02

『嵐が丘』エミリー・ブロンテ

ISBN:978-4102097045



☆☆☆☆ (☆4つは、オリジナルの魅力に対して)



新訳だというので、読んでみた。すらすら読めるような気がしつつ、ところどころ「??」。



あまりに登場人物たちのセリフがリズミカルに、矢継ぎ早に繰り出されているので、読み進めちゃうのですが、意味が掴みにくいところも多々ありました。原文を読んではいないので、もともとなのか、訳者の鴻巣友希子さんの特徴なのかは、定かではありませんが、おそらく訳者の力量かと・・・思います。



ヨークシャー訛りを出そうとされたのは、評価したいと思います。罵詈雑言の応酬は楽しく読みました。ほとんどの登場人物たちは、常にののしりあっているので、それが楽しいのは良いです。



それにしても、大昔に読んだはずか、ものすごい断片的なイメージでしか覚えてなくて驚きました。ヒースクリフが風がごうごうと吹き込んでいるキャサリンの居た部屋で、亡き彼女の名前を連呼している場面(怖かった)と、ヒースクリフが苛められてる場面。



それだけかよ! ・・・お陰で、まるで初めて読むような気持ちで感激して読みました。



読み終わって振り返ると、恋愛小説だとは到底思えない。確かに恋愛ではあるけれど、そんなロマンスじゃなくて、もっと人間の根本を見極めたいという欲求があると思います。
人が、どうやって自分で自分を認めるのかという問題とか、「自己」って何?とか、そういう問題を愛情と憎しみを糧に描こうとしているのではと思いました。



ヒースクリフ、という苗字をもたない肌の朝黒い拾われっ子の一代記でもあり・・・。ヒースクリフの実の子が早世してしまうというのも、意味深だー血のつながらない血のつながりでなく、魂のつながりこそ、強い絆になるということ? ヘアトンのことは憎からず、教育を与えなかったけどそこそこ良くしてやってたし。



拾ってきたリントン氏と本当の絆は築けなかったことが、ヒースクリフの激しい暴力的な愛情表現の底にありそう。
無償の愛を受け取りたかったのに、そしてそれはキャサリンが与えてくれると思っていたのに、彼女がアーンショウのやさおとこと結婚を決めてしまったことで、がらがらと崩れていったに違いない。
ヒンドリー(キャサリンの兄)から受ける虐待への復讐なんかは、キャサリンに捨てられた苦しみからみたら大したことではないかのようです。



※ナタリー・ポートマン主演で映画化(リメイクとか・・・)も予定されてます。



0 件のコメント:

コメントを投稿