2013/04/17

『クラウド アトラス』

監督・脚本:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキー



トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィーヴィング
ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント



★★★★



予告を観たときは、時代を越えても出会う運命の二人・・・輪廻と愛の物語かと思っていたのだが、実際は違った。確実に輪廻を示しているというよりも、時代ごとに繰り返される人間同士の衝突について、描かれる。



原作は未読。



6つの時代の6つの話、次の時代の人が前の時代の人が残した何かを目にしたり、聞いたり、している。



何かが次世代の誰かを支えたり、勇気をもたらしたりするのだよねと思える構造は、人間が生きる影響について思い起こさせますね。



うまいなぁと思うのは、登場人物をメインキャストたちが男女・年齢を越えて演じているため、それぞれ別々の話であっても、つながりを映像から受け取ってしまう構造となっている点。



直接のつながりはないけど、役者が重複することで一体感と一つの流れがあるような視点を持つように仕向けられてしまうのでした。映像体験としては楽しい感覚でしたね。



各話がわりとサスペンスやアクション映画のように、あるクライマックスへ向かってテンポアップしていく後半は、これをどう収束させるのか、何かウルトラCが待っているのか?(いわゆるオチ)とつい期待しながら観ていました。



白昼夢を観ているような現実感がふわふわ浮いているようなものだったのも、不思議な感じが続いて面白い。



なのにおオチは、あぁ、普通のいい話っぽくなってしまった・・・・! いつものハリウッド製作品ぽい、まったりとした後日談風の終わり方でテンポが悪くなってしまいました。



ラストの印象が、長い時間軸のなかでの人間同士の衝突とつながり、信頼、愛、といったものを感じさせるものであったなら、もっと壮大なイメージのまま終われたのにー。そこが残念です。



上映時間のわりに各話を追いかけているのに忙しくて、長さは感じませんでした。自宅でDVD鑑賞などすると、どこかで<ポーズ>ボタンを押してしまうでしょうが、これは映画館で観れてよかった、と。



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・ヒューゴ・ウィーヴィングが殺し屋さんで追いかけてくるのは、どう観ても<エージェント・スミス>なので、いつ画面にPC言語が流れるのかとドキドキ。



・ベン・ウィショーが、またもいかにも似合う英国人でゲイの役だったので、ここだけでも観てよかったとか思う。



・ペ・ドゥナらネオ・ソウルで働く複製人間たちが、複製人間のわりにあまり美女じゃないのね・・・でも、春を売る役割のはずなら、もうちょっとキレイでもいいのに。



・トム・ハンクス。どの役でも、トム・ハンクス節炸裂、カワイイやつめ。キレキレ小説家役は楽しそうでした。



・ハル・ベリーがユダヤ人役をすると(彼女、半分はユダヤ人なのですね)、あらマドンナ風に! 何をしても、美女でした。



・ヒュー・グラントが人肉食族の親玉で登場したり、成功した実業家になったり。いろんな悪役になったのは、隔世の感を覚えます。美青年も、ここまで来たか。似合ってました。



2013/01/21

『007 スカイフォール』

Skyfall 2012年



監督/サム・メンデス
ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ジュディ・デンチ、レイフ・ファインズ、
ナオミ・ハリス、ベレニス・マーロウ、アルバート・フィニー、ベン・ウィショー、ロニー・キニア



★★★★★



007シリーズで、一番心にぐっと来た。映像、音楽、ストーリー、そして衣装。衣装!



これまでの、ファンタジックで華麗なボンド(私のイメージでいうと、ピアース・ブロスナン)から、生身のボンドの比重を大きくした作品です。



撃たれても生きてるボンドは、やっぱり凄腕すぎるスパイだけれど、その他は落第点なところなども、生身ボンドらしい。



ボンドの生い立ちと、Mの死、そして新生MI6という話の流れが非常にうまくあっていて、これまでのボンドに敬意を払いながら、新しいボンドを産み出すぞという意気込みがいい展開を見せています。



ホームズといい、ボンドといい、イギリスは新しいヒーローをまたも誕生させたなぁと、羨ましさに歯軋り・・・ぎりぎり。さすが大英帝国は深みが違う。イギリスの最大の輸出品は俳優・・・またまた羨ましすぎる。はぁ



セリフのところどころ、特にQ(若い!ベン・ウィショー)から、ペン型爆弾は古い、といわせるあたり、ほほーっと感心です。秘密兵器が見ものだったボンドシリーズとは違うんだと。これ以上アクションが進むと、ダイ・ハードみたいになっちゃうものね・・・よいと思うわ。



でもでも、です。でも、ボンドがアストン・マーチンに乗り換えて、走り出した途端に流れる007のメインテーマ曲♪ キター! 007シリーズを愛するファンにちゃんとメッセージですね。ミサイルも搭載されてる~



ま、古いボンドとはお別れ!と爆破されちゃいましたけど・・・ カッコよかったな。



オープニングのアデルの曲とイメージが水の底で展開するとこ、これはこれまでの、よりクラシカルなボンド映画のイメージですね。この場面だけでも、見てよかったと思いました。



ダニエル・クレイグの演技力というのが、未だにイマイチ分からないのだけど、とりあえず衣装がお似合いで、惚れ惚れします。



これまで、私のスーツアクションは、前出のピアース・ブロスナンが最高だったのです。彼はエレガントに闘ってくれました。が、ダニエル・クレイグのボンドが、その地位をかっさらいそう。



トム・フォードの隙のない仕立てを、いわゆる端整なイケメンとはちがうマッチョ系なクレイグ・ボンドが着ると、より生身のボディ感が引き立ちます。
翻る裾、ぴったり胸に沿う白シャツ。手足がそんなに長くなさそうなダニエルですが、それもまた、キュートな魅力にしか見えないの・・・トム・フォード様マジック。



タキシードの下に着ている白シャツのデザインが見たことない、胸のあたりに斜めに仕立てられていて、そこ、スローで確認したい。オシャレすぎ。あれ?白いサスペンダーか?



ほかにも、生家であるskyfallで着ているカントリーのジャケット。ライフルを持って歩く後ろ姿がきまってます。どの場面でも、ばっちりキマっていて、眼福です。



ちなみに、敵であるシルヴァンの手下共でさえ、揃いのカジュアルなユニフォーム状態で、何てキュートなんでしょう。うう。衣装担当、いい仕事してます。



ダニエル・ボンドは女性に興味なさそうに見える。特に今回。
前のときも、あらラブシーンはあまりよくないわ・・・・と思いましたが、その辺すっぱり諦めたのか、もう「ボンドガール」自体、いないも同然の扱いです。Mがボンドガールだったとも言えるでしょうけれど、うーん、でもラブには興味なさそうだ。あっさり撃たれちゃいました。



どんなときも美女を口説くボンドとも、お別れなのかしら? シルヴァに太ももすりすり攻撃されてたのって、そういうことか・・・ むふ。違うよね。



新しい上司レイフMに、貴族風味の色気を学んでみてはどうだろう・・・暇だったらぜひ。



■さようなら、M.ma'am
ジュディ・デンチのMは、素敵に殉死させられました。仕事がクールであっても、柔らかい心を守りながらMI6の先頭にたって、部下の犠牲も受け止めてきたのですね。そういう、Mの振る舞いがよく表現されていました。
諜報員は身寄りがないほうがいいのよ、っていう時の表情。この表情を見たら、ボンドが彼女を尊敬している訳もおのずと伝わるというものでしょう。



シルヴァにも、ボンドにも違う視点ですがどちらからも、愛されてます。シルヴァは愛と憎しみ、ボンドは愛と尊敬かな。



新・Mとなるレイフ・ファインズ! やー、レイフ・ファインズはもう50歳ですか・・・ 美青年もおじ様になりました。官僚的、とボンドに揶揄された後で、あの活躍。うふふ、カッコよかった。鍛えてるに違いないわ。紳士ねー。



■Mom?
適役の、シルヴァがMをマム!と呼んでいるのって、ママ、ですね。ボンドが遣うマム!はMa'amですが、ママ、僕だけを大事にしてよ、守ってよ、愛してよってリルヴァが言っているようでした。



ママをめぐる兄弟のあらそい・・・まぁ。ママに認めてもらいたくて暴挙、というのも新しすぎるテーマでした。



映像も流れるエレガンス
全体的に、すごくスムーズに流れる画面だったのが印象的です。つまり、アクション映画であれば、真正面からドカーン!となるのでしょうけれど、冒頭の列車しかり、カジノしかり、ヨットしかり。高層ビルの狙撃手の背景クラゲしかり。



非常にエレガントな流れを感じさせる映像でした。ブラボー! こういうの、好きです。狙撃手とクラゲ映像だなんて、おしゃれすぎでした。



とにかく、新しいクレイグ・ボンドここに完成! です。周囲の俳優たちも見目麗しく、衣装も隙なく美しく、全面的に好みが詰まった作品でした。



で、次回どう来るのかが今から楽しみであります。









2013/01/20

『50/50』

50/50 2011



監督/ジョナサン・レヴィン
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、セス・ローゲン、アナ・ケンドリック
ブライス・ダラス・ハワード、アンジェリカ・ヒューストン



★★★★☆



癌患者となった若い男性の日常を描く。誰もがいつかは死ぬけれど、いつかの話だと思っている。その日常に切り込んでくる、癌という砂時計。人生の危機において、側にいてくれるひと、離れていくひと、新しく友となるひと。



研修中のセラピスト(アナ・ケンドリック)、過保護なママ(アンジェリカ・ヒューストン)、親友(セス・ローゲン)。



癌を克服したかどうかは分からないけれど、新しい人間関係のなかで希望を手にしたJGLのラスト、ハリウッド的にセラピストとくっ付いてしまうけれど、まぁいいか。ハッピーな感じにしたかったのだなと好意的に受け取ることにした。



あまり激しい感情を表に出さない主人公・アダム(JGL)が、手術前日に恐怖心や不安感がごちゃごちゃに混ざった感情を、親友相手に爆発させるシーンは、胸が痛む。



バカだけど愛すべき親友の、バカの背後にある思いやりや心配をちらっと見せる、節度のある雰囲気がよかった。
大げさにするでもなく、癌でも日常があるし、あなたを想ってる人を頼っていいのだよ、と。



ママ役のアンジェリカ・ヒューストンが素敵なママでした。過保護といっても、きゃんきゃんしないし、自分の出来ることをちゃんとしている立派な女性で。このママの子だから、アダムはまともに育ったのねと思わせる説得力がありました。



手術が終わって、セラピストに言う言葉。
 I want to make you pancakes, sometime.

sometimeにせつなさを感じます。作ってあげてほしい!



JGLが抗癌剤治療のため、髪の毛を剃ってしまうシーン。一回しか出来ないよね? ドキドキしました。剃ってもカワイイJGL。







『ハーフ・デイズ』

UNCERTAINTY 2009年



監督/スコット・マクギー
ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、リン・コリンズ



★★☆



7/14、マンハッタンとブルックリンを結ぶ橋の上でカップルが、コイントス。いきなり全速力でそれぞれの方向に走り出す二人。



マンハッタンは、サスペンス。ブルックリンは、家族関係のドラマが、同じ二人によって進行していく。



「スランディング・ドア」みたいな感じかなと思ってみたいたら、ラストにきゅっと締まりがないのであった。二つの物語を、同時進行させた<だけ> 



なぜコイントスして走ったのか、意味なかったよね。



主演のJGLが、自分の人生は自分で選びたいんだと言っていたくらいで、で、選んだのか単にコイントスの結果なのか。収束のさせ方に力がなかったです。



JGLとリン・コリンズのカップルが似合ってなかったのも、どうも居心地悪かった。



かなり最初の場面で、リン・コリンズがJGLの顔に手をやるので、彼女の手が映るのですが、非常に年取ってる手に映ってます。ぎゅあ。
実年齢は、彼女のほうが二つ上なだけですが、JGLが若く見えるせいで、10歳くらい上みたい。



なので、40近い女性にしか見えず(実際は30歳くらい)、そうなると彼女の言動があまりに子供じみていてついて行けない!という思いに襲われてしまってました。女優は手も命・・・



ヒゲのJGLが犬を散歩させてるのが可愛かった、というのが良い点か。











『シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』

Sherlock Holmes: A Game of Shadows 2011



監督/ガイ・リッチー
ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ、ノオミ・ラパス、ジャレッド・ハリス
エディ・マーサン、ケリー・ライリー、スティーブン・フライ、レイチェル・マクアダムス



★★★



1での新・ホームズ!という新鮮味が薄れてしまっていた。スローモーションでの戦闘シーン予測も、戦う前に毎回されると、あー、早くやっちまいな!と。
ただ、列車内の攻防ではうまく出来てました。薬莢が飛ぶ様子が好きなので、カッコ良かったです。



スローモーションには砲撃場面も追加されるが、こちらも同じで、砲弾が飛びかうのをスローで見せられるも、ただ逃げてるだけなので、あら・・・いまいち。



古きよき時代から、現代への橋渡しの時期なのね。WWⅠの序章という扱いで、もう機関銃が発明されたの?と驚く。



ホームズとワトスンの仲良しプレイは楽しい。途中のやりとりもまずまずだったけれど、ラストシーンで目が合うシーンが、なかでも良い。キューン!



細かくキュンキュン場面があるのは好きなのだけど、全体としては・・前作のほうがスマートに仕上がっていたように思えます。衣装の見栄えがいまいちだったからか? ジプシー風衣装だと、あまりホームズっぽく思えなかったのかも。



今回は、ジュード・ロウの衣装、マフラーが素敵でした。



ホームズはタイツ君の衣装しか思い浮かばなくて、残念だよ・・・プププ。









『スマグラー おまえの未来を運べ』

2011年 日本



監督/石井克人
妻夫木聡、永瀬正敏、安藤政信、我修院達也、高嶋政宏、小日向文世、
テイ龍進、阿部力、浦島ひかり、松雪泰子



★★★★



面白いっていうのとはちょっと違ったのだけど、役者さんごとにそれぞれの演技が良かった。
マンガ原作なので、マンガ的な表現にそった派手な殺害シーンが続きますが、そんなにグロくはないです。痛そうだったけど、マンガだしって思えば大丈夫だ。



高嶋兄ちゃん、どこに行ってもヘンタイ君は俺に任せろってところでしょうか。楽しそうに拷問してました。何でオムツなのかしら。ウレションしちゃうの?
小日向さんは、ヤクザの役がほんとに似合いますよね・・・ 笑顔が怖いなんて、素敵。



浦島ひかり、泣いたりわめいたりの体当たり的演技では良いという噂ですが(でも、それも渡好みではない)、この映画においては、下手が目だってしまいました。残念。後半のキーになる役なのに、あれれです。ここ意外のキャストは良かった。



永瀬さんは、あまり私が追いかけてないうちに、とてもいい顔になっていました。皺と少しゆるんだ顎のラインが、いい味わいです。笑顔も見れたし。



安藤政信、いつ見ても美しすぎます。どうしたらあんなにキレイな顔してられるのだ。



そして、妻夫木聡。先日『黄金を抱いて翔べ』で、いい顔になった!と喜んでいたので、どうかと思ってみたら、今度は若い! これも1年前の封切りなので、1-2年しか違わないのに、25歳だかの役をやってのけました。



傷ついた過去を抱える男(代表例は、レオ様~)、というのはキュンポイントが高いわけですが、妻夫木くんも相変わらず・・・ますますのポイント高い人になりました。ダメ男なのに、どうしてかキュンキュンしてしまう。なんて悪い男なんだ・・・・危ないよー。







2012/11/25

『黄金を抱いて翔べ』

2012年



監督/井筒和幸
妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン、西田敏行



★★★★



原作:高村薫 未読。



妻夫木聡、いい顔になってきたなぁと喜ぶ映画。浅野忠信のガタイがいいのも見目麗しいし、暗い溝端淳平もいい。
桐谷健太は情けない感じと調子者のアクセントがよいし、チャンミンも(時々、木村拓哉と被るのだけど)悪くなかった。可愛がられる役ってことでいいのでは。



西田敏行・・・・うーん、哀しいね。本物なのかと不思議な太鼓腹に哀しみが詰まっていた。青木崇高が、散々なヤクザ者という役どころで素晴らしかった。



余計な女も絡まず(コレ大事)、すっきりした展開。



希望を言えば、大阪の町のこってりさが画面や言葉に足りなくて、もっとコテコテで!と思ったが、あまりコテコテにするとチャンミンあたりが浮いてしまうのかもしれないなぁ 青木崇高がひとりコテコテ担当で、楽しませてもらった。



夏の暑さ、追われるウラ世界のじとじとしたダメさ加減、ダメだけどあきらめてない。何を? 分からないが、なぜかあきらめず走っていく男たちを、陰から眺めることが出来る映画であった。



爆破シーン、良かったわ。かっこよくないの。それがいい。



タイプが同じとは言わないけれど、L・ディカプリオと妻夫木くんが重なった・・・ 悪い男であっても、一瞬、純粋さが走ったりとか、彼が痛めつけられてる姿にぐっと来てしまうところなど。



痛めつけられてるのに、甘美なヨロコビが脳裏に浮かんでしまう、そんなタイプ。あ、たとえば主役しか出来ないトム・クルーズだと甘美には遠くて、早く脱出しなよ、って思うだけだったりします。



妙なオヤジギャグがところどころで炸裂し、劇場内にひんやりした空気が流れるのも、井筒監督の目論見どおりなのよね? 面白くないギャクを言う浅野忠信、良かったです。



隣の席のおじさん(お一人様、私もだけど)が、妻夫木くんが撃たれてしまったあたりから、ぐずぐず泣き始め、ラストでは涙をぬぐっていたのが衝撃的であった。何があった、おじさん・・・



前方席のおばさま。冒頭、モモが兄を撃ったところでお前が撃たれたか!ってくらい響き渡る叫び声をあげる。ちょっとカワイイ。この後は静かにごらんになっていました。