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2007 幻冬舎、ISBN 978-4-344-01384-1
久しぶりに、読み返したいと思う小説だった。登美彦氏の文体がかなりお気に入り。やり取りの言葉が楽しいのって貴重だもの。村上春樹以来かも(比喩にめろめろだった)。
京都を舞台に、偉大な亡父をもつ狸兄弟と、タカラヅカ病に罹患している母狸。主人公は3番目兄弟、矢三郎。・・・化けるときはいつも「腐れ大学生」になっているので、それくらいの年かしらと思いつつ読んでしまったけど、どうなんでしょうか?狸の年齢って。
男兄弟にしては、腕白さが足りないというか、わりに非暴力な兄弟。長男の、しっかり者のくせにココ1番に弱いところとか、兄弟の性格描写がうまい。自分が長女なので矢一郎兄ちゃんに肩入れしてました。クールを装って熱い次男、阿呆に生きてる三男、びびりだけど素直な末っ子。かわいい。
矢三郎は、普段はほけっとしているようでいざという時は踏ん張れる頼れる三男。これがふわふわの小さい狸がやってるのかと思うと、ますます愛らしいです。
反抗期とかあったのか?というくらいのイイコ揃で、それがまた登美彦氏っぽい世界なんでしょう。親への100%の尊敬と愛情、そして兄弟愛。それもファンタジーの一部として受け入れておけば、愛にあふれた世界に多少お尻がむずむずしても受け入れられそう。
父の弟でもある宿敵、夷川早雲、息子の「金閣銀閣」の阿呆兄弟のあほあほぶりも笑えます。狸ということで、すっかり脳内ではジブリの映画になったくらいの活劇として読みました。
がっちりリンクじゃないかもしれないけど、『太陽の塔』に出てくるものとゆるく繋がっているような。あああ、だからまた読みたくなっちゃうんだ。うまいな!
狸や人間を軽蔑してる風のくせに、弁天ちゃんに心うばわれて天狗の威光を地に落とした赤玉先生(如意ヶ嶽薬師坊・・・という立派な名前もある)のダメ男ぶりも、登美彦氏の作品に共通の「素敵な乙女に腑抜けになる」状態。
10年くらいは腑抜けたままかもね。そのうち、しっかりと手を繋いで向き合ってくださいませー。
※最後のページに「赤玉先生の御令息、大英帝国より堂々帰還」、幻冬舎の『パピルス』15号から連載開始だそうです。英国紳士なんだろうか? 赤玉先生、御令息、弁天の戦いが楽しみ。
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