ISBN:4-10-125021-9 新潮文庫(2000年 新潮社刊、文庫化にあたり改稿あり)
☆☆☆☆
新潮ミステリー倶楽部賞受賞した伊坂幸太郎のデビュー作。入院したときのために(いつ?)とっておこうと思っていたけど、映画化されまくりの伊坂作品を読まずにはいられず。
地図にも載っていない、誰も存在を知らない「萩島」に連れてこられた主人公「伊藤」が、150年間、閉ざされた島で起こるカカシ殺人を中心とする数々の殺人や謎を明かす物語。伊藤が探偵気取りじゃなく、巻き込まれ型なのが好印象だ。
未来が分かるしゃべるカカシ、反対のことしか言わない画家、唯一島の外に出て行ける男、もうひとりの島の外から来た男、カカシを恨んだ女、などなど。
最初、設定のファンタジー具合をどう捉えればいいのかしらと戸惑ったものの、伊藤が島に慣れるように私も慣れていった気がする。カカシがしゃべることについて、科学的(というのかなぁ?心理学的に、かも)ファンタジーじゃない見方が作品内に示されたときは、ガツン!とやられたーっという気分になった。程度で言うと『アクロイド殺し』くらい。
ところが、そうじゃない、という見解となってラストが明るく輝いて見える展開に驚きました。さわやかでした。ものすごく気になることはいくらでもあるけど、そんな重箱の隅をつっつくようなことはやめておこう、という気にさせてくれる終わり方で満足です。
ミステリとして捉えるなら物足りないけど(新本格な作品が好きなので)、総合力で4点。次も楽しみ。