文学界新人賞受賞作『射手座』上村渉
知っている人が新人賞を受賞しました。ペンネームでもないので、とても不思議。誌面にはモノクロの「さわやかな感じの文学青年」の顔写真もあって、ますます不思議。
不思議な感じを覚えながら、拝読しました。
知っていても、読み始めると「小説」として受け取ることが出来るものなんだというのも、発見。そうか、知っている人が書いても、本人と切り離すことは出来るもんなんだな。
ずーっと白昼夢のような、ポイントごとにリアルに情景が浮かぶけれど、全体的には白昼夢のような雰囲気でした。
とても近くで見ているのに、一枚ガラスの向こうで起きているような、そんな感触。
そこに、ここに、きっと何か隠れているに違いない。そう思いながら読む。何が隠れていたのか・・言葉にできないズレたままの、何か。主人公はきっと何も失っていないと思っているけれど、実は失っていたかもしれない、何かを。
言葉がズレでいる、ような気がする。常識と思っているものも、ズレている。でも、不誠実ではない。切ないっていうより、哀しい。
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