2012/07/23

『時のかなたの恋人』ジュード・デヴロー

新潮文庫 4-10-247601-6



カテゴリ的にはロマンス部門。イギリスに旅行中のアメリカ人が、恋人とその娘に意地悪されてて、しくしく教会で泣いたら、目の前に騎士があられた、という。



ロマンス小説入門としては、なかなか面白く、きゅんとセツナイ恋物語で楽しく読んだ。



現代では、騎士が自分や一族の不名誉(濡れ衣)を晴らそうと歴史の痕跡を探り、ついで過去へも彼女がタイムスリップして、そもそもの不名誉を起こさぬよう画策するという・・・タイムパラドックスとかは無視です。



で、二人が熱く結ばれると、違う時代から来たほうは消えてしまうし、しばし違う時代に居たという痕跡も、消えてしまうのでした。あらー。
思い合えばあうほど、結ばれてはならない二人ってことで、じりじりと禁欲的なのでした。



騎士は<余の剣をもてい>レベルの話し方で、当時の習慣なども物語に織り込まれていて、案外面白かったのだ。
エリザベス朝の人なので、日本だと戦国時代くらいか。会話は通じるかなぁ 





この後、ロマンス部門に疎くても名前は知っているサンドラ・ブラウンの『侵入者』を読んで、↑こちらの禁欲ぶりとは違う系統にちょっと疲れた。



インディアンの血を引く脱獄囚(でも、収監された罪は濡れ衣!)と、人質で連れ出された深窓の令嬢が、あっという間に燃え上がってました・・・・



わたし、禁欲派がよかったな。



逃げられないように服を取られていても、犯人のステキポイントをチェックするとか、いついかなる時もセクスィレーダーが全開みたい。すごいー。すごいわー。



それにしても、ロマンス部門では、筋肉だの体毛だのが非常に重宝がられているのですねー。



筋肉はいいとして、体毛はそこまで詳細に褒め称えたことないわ。毛に手をくるくる遊ばせたい、とか。どの範囲に広がっているとか。ほへー。
しをんちゃん(三浦しをん)、こういうの読んで楽しむのかしら?



2作品を続けて読んで思ったのは、これは続けて読んではいかんということでした。規定路線のお話なので、連続だと飽きます。
たまに、恋ってステキとか言いながら読むくらいが、いいうっとり加減のようでした。









2012/07/18

『遠距離恋愛』

Going the Distance 2010年 アメリカ



監督/ナネット・バースタイン
ドリュー・バリモア、ジャスティン・ロング、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス



★★★☆



出会って、6週間後にはサンフランシスコに帰るから、本気にはならない、と言い合ったけれど、別れのときに、このまま別れるのはイヤと遠距離恋愛を選択した二人。



離れてるさみしさとか、どっちが自分の仕事をあきらめて相手のところへいくとか、段々シリアスな悩みになっていくのは、遠距離の定番。



けっこう笑った、楽しかった。しかし、相手役のジャスティン・ロングがなかなか<いい男>に見えなかったのが問題でした。



ドリューが、初めて見た時からすてきと思ってた、という場面があったのだけど、ど、どこが!ドリュー、付き合ってるからって(リアルでは交際してる同士らしい)それは無いと思うわ。peopleのリンクつけとくね。



しいて言えば、かわいい系なのかなぁ 真剣な話をしてるときは、案外いいかもと思ったんですが、声も渋くないし・・・ ドリューの趣味は広いってことで収めておきます。



遠距離恋愛中のひとは、元気になれるかも。あ、でも結局離れたままでは、どうにもならないというのは二人の結論だったので、そこから動けない人はつらいかもしれません。



この作品のドリュー、あんまり可愛くなかったのよ。老けた感じに見えて、お疲れ気味だったのかしら。衣装が地味だったからかな。もっとかわいいはずなのに、と思いながら観てしまいました。



赤いリップはお気に入りですよね、似合ってて羨ましい。ケバくならない赤リップ。







2012/07/16

『ハード・キャンディ』

Hard Candy 2006年 アメリカ



監督/デヴィッド・スレイド
パトリック・ウィルソン、エレン・ペイジ



★★★★



出会い系で知り合った32歳カメラマン(ジェフ)と、14歳のまだ子どもっぽさが残る少女(ヘイリー)。



カフェで話しているうちに、あるバンドのライブ音源があると誘いこみ、カメラマンの家にいくことに。ところが彼女のつくった飲み物を飲んでから、男の恐怖の時間がはじまった。



椅子にくくりつけられ、お前はペドフィリアだと言われ、自宅壁の少女たちの(いかがわしい感じらしい、この時点でははっきり画面に写ってない)写真をどうやって撮った、と脅される。



写真は芸術作品で、何もしてない、というジェフに対し、室内を探し回り、ついに証拠を発見。その少女は、どうもジェフのお気に入りらしい。



一度は逃げ出したものの、素直に警察にいけない事情もあってヘイリーに反撃しよとして、また返り討ち。
いろいろ攻防があり、後半は下半身に氷を着けられた状態で目が醒めるジェフ。危ない男だから去勢するといわれ、ウォッカで消毒、氷で麻酔のかわり、抜いた玉はキッチンのディスポーザー・・・



++++++++++++++++++++



殺さない、という割りに、最後は自殺を迫って実行させたり、ヘイリーと行方不明の少女との関係も分からない、と謎が残ったままであるが、密室劇として面白かった。



部屋ごとに壁の色が違っているシンプルな室内も、二人だけを際立たせます。



最初、少女への性的興味はないからと超さわやかに振舞うジェフの仮面が剝がれていくところとか、エレン・ペイジの子どもっぽさとオトナびたところが次々ミックスされて見えるところも見所ですね。



ジェフ役の方、『オペラ座の怪人』でラウル役した方で、途中で気がついて、あらあら~と。ラウル役のときの髪がへんてこだったのでイケメンと思えなかったけど、この役はなかなかいい感じでした。ケビン・コスナー風?



赤いフードを被って自殺させたジェフの家から出てくるヘイリー、狼を退治した赤ずきんちゃん、ということらしい。闇の仕置き人かしら。



ただ、変態野郎をやってやった!という爽快感がなく、ああ・・・自殺に追い込んだか、と抜けきらない気分です。
ジェフも法的に倫理的に問題ありですが、ヘイリーもなかなかの変態じみた言動をしているから。



どちらも、オカシイの。



あと、エレン・ペイジ恐るべしな作品でもあります。童顔の美人でもない彼女、しかし知性輝く女性という雰囲気があって、この先も楽しみです。



2012/07/07

『裏切りのサーカス』 邦題がかわいそすぎる。

Tinker Tailor Soldier Spy 2011年 英仏 (日本公開2012年)



監督/Tomas Alfredson
Gary Oidman, Colin Firth, Benedict Cumberbatch, Tom Hardy
John Hurt, Toby Jones, Mark Strong



★★★★★



とにかく、この邦題を誰がつけたのだ! かわいそうです、こんなにいい映画なのに。原題のままでいいじゃん、そのほうがカッコいいし、カタカナでも意味わかるし。ひどい、ひどいわ。



70年代、冷戦時代のスパイ映画でありながら古めかしくなりすぎず、かつ盛り上げすぎずの抑制のきいたサスペンス・・・風、いい男とスーツが存分に鑑賞できる映画。



リピーター割引があったのだから、やはり一度だけでは掴めなくて当然なのよね? なんとなく、『The usual suspects』のようなどんでん返しを期待して見ていたため、あれ?という感じで終幕を迎えてしまいました。



あと、わたし、人の名前を覚えるのが苦手なので、後半の事件の全容が見える段階での、矢継ぎ早な(って早口じゃなかったんですけれど)人名の羅列に、俺の脳みその処理の問題で、混乱したのもつらい。



というわけで、確かにもう一度見たくなるタイプの映画です。相関図を書けばいいのかしら?



++++ネタバレしてるから、見たくないひとはこのへんで++++



・ポール・スミスが担当してる衣装や持ち物が素敵。
ゲイリーがつけているメガネもいい(二つのメガネで、現在なのか過去の回想なのかが区別できるようになってます)



スーツは肩で着るんだなぁというのが、イギリス紳士のスーツの着こなしなんですね。スーツのおじさんが出ずっぱりの映画なので、目の保養にどうぞ。



しかし、部屋着というか普段着、カジュアルな衣装ももちろんポール・スミスで、コリン・ファースのセーター姿、宝物だわ・・・ 



ほぼオールイギリス人俳優なのも、画面の落ち着きがいい原因でしょうか。って、ゲイリーはアメリカ人だとばかり思ってたので驚いた。仕事の出来る紳士でした。いいね。



・B. カンバーバッチも出ていて、予想以上の活躍で嬉しい。BBCドラマ『シャーロック』では黒髪にしてるけど、本人は金髪なのね。



不思議なヘアスタイルだなぁと思っていたら、ゲイだったらしい。新人の女の子を口説くってのを、コリン・ファース演じるビル・ヘイドンと話してたのは、本心じゃなかったのか。ここのシーン、また見たいかも。
コリン・ファースの自信満々の顔もよかった。オデコにメガネ乗っけちゃうとか、何アピールだったんだろう。かわいいひと。



ってか、そのヘイドンもマーク・ストロング演じるプリドーと、何かあったっぽい
交際まではいかずとも、心の交流はあっただろう(すごくいい笑顔で二人が写っている写真があったの) ので、ヘイドンもゲイなのか。



ハンガリーで撃たれたブリドーを売ったのが、ヘイドンで。しかし命を助けて英国に戻したのも、ヘイドンであろう。そこが裏切りつつも、情があったところ。
でもって、最期がそのブリドーがソ連へ送られるヘイドンを狙撃するという・・・哀しい!



しょんぼりしてしくしく涙ぐむコリン・ファースに持ってかれたわ。



・トム・ハーディが実働部隊として登場。スーツ班とは違う汚れ仕事をする男で、ソ連の美女に恋する役なのがセツナイのであった。



彼女が死んでることを既に知っているゲイリー演じるスマイリーが、彼女を助けてくれ!と泣く彼に言わずにいることも、これまたイタタタ。作戦のために言わなかったのでしょうが、諜報部員たちはツライわ。



褒める点は山盛りで、実際のところサスペンス風味で、“もぐら”の謎解きが、一度でぱっと分からなくても、楽しめたというのがこの映画の持ち味かと思います。



音楽も抑制がきいたもので、センスよかったな。たまに流れる流行歌的なものも、うまいなぁ



枯れオヤジが冷静に、胸に悲しみを抱きつつ謎を解く。



スマイリーがサーカスのトップになって戻ってきたところでエンドだったので、続編もありかもしれません。また、カンバーバッチ君を出してくださいねー!



『僕を葬る』

Le Temps qui reste 2005年 フランス



監督/フランソワ・オゾン
メルヴィル・プボー、ジャンヌ・モロー、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、
クリスチャン・センゲワルド



★★★★



風景やカフェの風景がとてもきれい、主人公ロマン役の顔もきれい。恋人役もきれい。



末期がんを宣告されたイケてるファッションカメラマンのロマン(ゲイ)、家族とのビミョウな溝は埋められず、病気のことを告げられない。
同居していた無職の若い恋人のことは、もう興味がないと追い出す。



かつて、夫を亡くしたあとの自分を守るため息子をおいて家を出たという祖母(ジャンヌ・モロー)には、病を告白できた。なぜ私には話してくれるの? もうすぐ死ぬから。似ているとおもうからだよ。



仕事を休止し、酒びたりとなり、自ら捨てた恋人の就職活動の手伝いをこっそりとする。そして。不妊の夫婦のために協力し、生まれくるその子に自分の財産を譲る遺言を残し、1人の自分のまま死んでいくことを選ぶロマンの数ヶ月が描かれています。



ロマン役のプボーがやつれて痩せていくのは頑張ったねと思うけれど、映像がきれいなうえに、彼の顔がきれいなもので、癌患者の苦悩をひしひしと感じるまでは至らず。



」癌であることとは別に、衝突してばかりの姉とその子どもたちを、遠くから見つめて写真を撮るところなど、世界とのかかわり方が、何か見えない壁のなかから見ているようなロマンが印象的です。



オゾン監督って、映像はきれいだけど、人への態度が冷たいところが持ち味なのだろうか。女性にも意地悪目。いくつか見てるけど、他人を信用しない人が多く登場する気がします。