2012/06/07

『秒速5センチメートル』

2007年 63分



監督/新海誠



★★★★★



きゃー、キュンキュン映画だなぁ これは、過ぎ去ってしまったものを知っている世代には★では・・・? 



作品には、4点と思っていたら、三話目に『One More Time, One More Chance』がいきなり、めまぐるしく変わる思い出の数々があふれる画面とともに流れたときに、キュンボタンが大変なことにー。



まさよしの曲で攻めてくるなんて、どうしようもなく切ないに決まってるじゃないかー。このー、うまいぞ。
ざっくり言ってしまうと、『One More Time, One More Chance』の壮大なPVとも言えるような。



小学生-中学生、離れ離れの高校生、そして社会人となった二人。3つのエピソードで構成されています。



貴樹のような男子が実際にいたらハッキリさせろー、といらいらするのだろうけど、映画では自然の風景と、秒速5センチという言葉、どうしても近づかない二人がなんともキュンキュンでした。



東京から、佐野が遠いよな・・・っていう中学生の距離感が、まずキュンだわ。どんな寒い国に彼女が引越したのかと思ったら、栃木って! ほとんどお隣だよ! 



初恋ね・・・



思い出は美化されつつ、鹿児島と栃木の距離はあまりに巨大で、どちらが悪いわけではなく、手紙のやり取りが止まってしまう。



主人公の貴樹、そこにいるけれどそこに居ない。目の前で泣いている女の子を見ないで、連絡が途絶えた初恋の彼女を思っている。ばかばか。



そして、社会人となってがむしゃらに何かを得ようとするかのように、必死に働いて、そして戦線離脱(退職)。
そして同じ空のした、あのときの彼女は、結婚の準備をしているのだった。昔、渡せなかった手紙などを見つめながら。



これはハッピーエンドが主題ではなくて、求めるがあまり手にできないもの、<手にしたかもしれない幸福>というファンタジーへの渇望、といったところかと。
三話目が如実だったけど、心象風景に状況が分かる程度にセリフを入れた映像モノなので、最終的には良いも悪いもなく、貴樹の止まったままの心を見せられているとも言える。



記憶に足を取られて 次の場所を選べない♪



・・・キュンキュンだけど、それは<思い出すこと>がキュンキュンであって、次の場所を選べないようになると、切ない以上に、痛々しい。
これは、男子的にはキュンポイントなのかしら? 女子は、キュンしつつ、手を繋いでくれる人を選ぶもの。



貴樹が以前付き合った女性からは、1000回メールしても1センチくらいしか近づかなかった、とメールが届いていて、おお、村上春樹! 
「月に戻りなさい、君」(『ダンスダンスダンス』)ですね。



礼儀正しい少年像も、春樹作品の男の子たちを連想させます。比喩の清潔さとか、正しい感じとかも。社会人の貴樹が「やれやれ」とか言うんじゃないかと思ったわ。



ラスト、踏み切りが上がった先には、あの人はいなかった、というのを見届けてから、次の一歩を微笑みながら踏み出した貴樹を応援したい。



他の作品も、キュンキュンなのかなぁ 見てみたい。その手に入らなかったものを、本当に手に入れようとする戦いを描くようになってくれればいいのにな、新海さん。



2012/06/03

『メン・イン・ブラック 3』

Men In Black 3 (MIB3) 2012年 アメリカ



監督/Barry Sonnenfeld
Will Smith、Tommy Lee Jones、Josh Brolin、Emma Thompson



★★★★



面白かったー!



で、若き頃のKを演じたジョシュ・ブローリンが似すぎです!



仕草はおろか、声まで似てるんですけど(吹き替え部分とかあるのか?って思ったくらいだ)



タイムトラベルが絡むので、あれれ?と消化不良なところもありつつも、1-2-3と楽しい続編となって嬉しい。



Jがタイムジャンプしたあとも、Kなき世界にありながらKの記憶を持ったままだったことの理由に、<そこにいたんだ!>って言われてたのですが、
それならラストのボリス・ジ・アニマルがJと格闘してるときに、Kがタイムジャンプしたこと気づかずに倒されてしまうのが変かな?とか。



<Kに近づくな>といわれたのに、早速つかまるJ.でも、何で近づいてはいけないのか、イマイチはっきり分からないのも、消化不良ポイント。



ですが、まぁいいかな・・・と。



そう思わせるのは、主演の二人の面白さが貢献してます。おとぼけさんなところや、娯楽を見失わないところなど。



楽しかったし、コンビがより仲良くしてくれるので、ああ良かったよと思いながら映画館を出てきました。



音楽もいい。Danny Elfman 『チャーリーとチョコレート工場』の音楽も担当してたのか。ウンパルンパ♪も。
メインテーマが流れるなか、ブラックスーツでキメた男が歩いてくる。これだけで、気分があがります。











『十三人の刺客』

2010年 日本



監督/三池 崇史



役所広司、山田孝之、松形弘樹、沢村一樹、石垣佑麿、近藤公園、高岡蒼甫、
六角精児、浪岡一喜、伊原剛志、古田新太、窪田正孝、伊勢谷友介



稲垣吾郎、市村正親、光石研、内野聖陽、平幹二朗、松本幸四郎、
斉藤工、谷村美月、吹石恵、岸辺一徳



★★★★



はー、暴君(というか、異常者よね・・・吾郎ちゃん演じる斉韶、たぶん人生がつまらなくて残忍な<殺し>をしてる)であっても、将軍の異母兄弟であり、老中に内定していることから、表立って処分できないので →



役所広司に、暴君暗殺命令が出た。で、成し遂げる。それだけの話。



静かながらじりじりと怒りと溜め込んでいく前半。後半は爆発させて、血みどろの戦闘場面の連続。
というコントラストが気持ちよく、最近はテレビドラマの特番的映画が多いので、こういう気合の入った映画を観ると満足感が高い。



殺陣はアクションのためのアクションじゃなく、ひたすら200人以上の相手を13人が切りまくる体力仕事でした。わざとだろうけど、なかなか観てる私もぐったりの殺陣=40分間。
これで大分減ったんじゃ?と思っても、まだまだ出てくる家来でした。



これの稲垣吾郎がよかった、といろいろ聞いていたのですが、確かに良かった。きれいな顔して正論を言ってるような顔して、異常者っていう。似合います。



山田孝之は、こういう満たされない人物が似合う。何をしても満足しきれないっていう顔だ。



ウッチーが冒頭で出てきて(出演してるの忘れてた)きゃっ!って思った途端、自害してしまいました。でもカッコ良かったよう。



血みどろじたいは特に好きではないが、切ったら血が出るのは仕方ない。あまりに血のりがたっぷりのため、最後には血のにおいがしてきたヨ・・・うう。









『スーパー8』

Super 8 2011年 アメリカ



監督/J.J. Abrams



★★★★



懐かしい感じが満載、今の子供たちが見たら、わくわくするのかな。



E・T、グーニーズ、スタンド・バイ・ミー、そういう子供時代に訪れる、子供だけの冒険物語を思い出す。



’79年、ある町で起きた貨物列車と自動車の大事故。そこでは、子供たちがゾンビの自主映画を撮影中。
事故で貨物から飛び出てきた、たくさんの謎のキューブ状のもの、そして偶然に回ったままだったフィルムに映った巨大な生物の姿。
静かな田舎町には、軍が大量にやってきて町を占拠。住民は町から非難させられてしまう。



それぞれの子供は親との関係や、友人関係、あわい初恋、と何かしらの問題を抱えていて、この大事件を乗り越える中で、彼らも大きくなっていくのだった。



うむうむ。



謎の生物が・・・ちょこっとしか映らないけど、人間食べちゃうし、何だかねぇ ETほどじゃなくても、もう少し可愛げがほしいところだった。同情しにくいもの、食べちゃったら!



携帯もなくて、友人同士は無線で秘密の交信。ネットもないし。茶の間のテレビか新聞が情報源。遊ぶには、手も体もたくさん使ってたよねーと思う。



何度も観たいというものではないのだけれど、少年たちの子供なりの頑張りを応援しつつ、自分の子供時代をふと思い出す、という映画でした。



しかし、別のところでSF映画への消化不良気分になったな。『未知との遭遇』のような、映画史を飾るようなSF映画、しばらく観てないー。CGの技術が進化しても、結局、脚本が。



『抱きたいカンケイ』

No Strings Attached 2011年 アメリカ



監督/Ivan Reitman
Natalie Portman、Ashton Kutcher



★★★



研修医で永遠の愛を信じない、と公言するエマ(ナタリー・ポートマン)と、俳優の息子でドラマ脚本家を目指すアダム(アシュトン・カッチャー)。



何度か再会するうちに、セックス・フレンドにならないか?とエマが持ちかけて・・・ アダムは好意を持っているので、エマの提案にOKするが、好きな気持ちを我慢してカンケイを続けることが辛くなり・・・



と、分かりやすい男女のロマンチック・コメディってことでした。



ナタリー・・・美人だけど、リアルさが足りないところがあって、アシュトン・カッチャーの温かみのある笑顔と比べると、ちょっとアンバランスです。
ナタリー、可愛いんだけどね、小柄だしメリハリボディじゃないので、セックスフレンドよ!って絡んでると、ロリコン風味であった。アシュトンがまた、でかいし。



これは、アシュトンが可愛い!と鑑賞できればOKかと。いやー、ちょっとすくすく育ちすぎた感じが可愛い。







2012/05/05

『マルタの鷹』

The Maltese Falcon 1941年 アメリカ 101分



監督/ジョン・ヒューストン
ハンフリー・ボガード、メアリー・アスター、グラディス・ジョージ、ピーター・ローレ
バートン・マクレーン、リー・パトリック



★★★★



ふーん、ふーん。ハンフリー・ボガードが舘ひろし派閥(本当は逆だよ、舘ひろしがボギー風ってことだよね)に見えて、時々妙におかしさがこみ上げて来た。
ごめんね、ボギー、かっこよかったんだけど、今じゃこんなにカッコいい人っていないもので、まぼろし~?な気分なんだよ。



ダシール・ハメット原作ということで、前半はともかくラストの美女を警察に引き渡すあたりに、ハードボイルドの骨格がぐっと浮き上がって、痺れたわ。



ボギーは、顔のつくりがいい男ってわけではない・・・よね? とりあえずカタチは私の好みではないのだけれど、役のスペンサーはカッコつけてない男でありながら、行動がカッコいいい男、だ。頭も切れまくってる。
モテモテで、女性のあしらいも上手いのに、女に溺れないのねー。やるなぁ!



映画を見てて、ボギーはそれほど身長が高くないのねってことに気づく。ほう。美男子でもなく、大柄でもない男が、美女をめろめろにする・・・最高だわ。



この時代の映画を見るたびに、日本が清貧とか言ってたころのアメリカの豊かさを感じて切なくなります。で、なぜか今よりも<外国>ってことを強く感じますね。なぜだろう?
発音が時代がかってるからかな?





2012/05/04

『アビエイター』

The Aviator 2004年 アメリカ 169分



監督/マーティン・スコセッシ
レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ブランシェット、ケイト・ベッキンセイル、アラン・アルダ、
アレック・ボールドウィン、イアン・ホルム、ジョン・C・ライリー



★★★★★



ディカプリオが出ていれば★は甘くなる・・・が、3時間近い上演時間のわりにスピード感があって、時代の雰囲気が分かりやすく。また、人物造形も単純すぎず複雑すぎず。
つまりポイントがブレずに物語が進行して視聴者にやさしい1本。



窮地に立たされる、つらい目にあうディカプリオは天下一品だわ。ママが助けてあげる!といいたくなります。裸で試写室に籠って、つめも髪も伸び放題でも、まだ何とかしてあげたくなる可愛さ! はー、好きな女性には甘えるところがまたキュンキュンでした。



1920年代~1950年代あたりの、アメリカンドリームの世界。ハワード・ヒューズについて何も知らなかったけれど、世界の富の半分を持つ、とまで言われたらしい。ひいー。



(金に糸目をつけないとは、このことか!)
『地獄の天使』制作費100万ドルって確か言ってたけど、この時代の100万ドルって今でも日本映画なら夢物語です。桁外れという言葉がホントにふさわしい破格のリッチマンですね・・・



ロケ中のキャサリン・ヘップバーンに会いにいくのに水上飛行機で迎えにいくわ、自宅のゴルフ場みたいなところに着陸するわ、わかりやすい大富豪っぷり。



柱になるのが3つのポイント。



1、超リッチな飛行機オタクの青年が、夢のため時にタガが外れたかのような猛進ぶりで航空界の新しい道を開いていく爽快さ。
最高時速更新、大きさが最大の飛行機の設計、大西洋航路に打って出る強気さ。



空を飛び、スピードを怖がらないハワードの振る舞いが、ああ、この人ちょっとズレてるんだなって思います。



2、幼い頃に母から植え付けれらた<世界はバイキンで満ちている、安全なところはない>が、社会との軋轢とあいまって、彼の中で増幅してバイキン恐怖に襲われていくさま。



母が使ったものと同じ石鹸を正装時もポケットに持ち歩き、プレッシャーで心が押しつぶされそうになると、手を洗うことで消そうとする行為。とても痛々しい。



付随して、自分のなかの決め事がおおい脅迫神経症的なふるまい。生々しい肉は食べず、他人と皿を共有せす、酒は飲まずに蓋つき牛乳を飲み、タバコも吸わない(嫌悪している節があった)
どれも、子供時代にきっと母親から教育されたことと推察されます。



3、不潔を嫌うけれど、心の安らぎを女性に求める女好きの面。



キャサリン・ヘップバーン、エヴァ・ガードナーとの交際、巨乳好きってのが可愛いポイントであり、子供のまま大人になってしまったようなハワードを映します。
子供っぽさと経営者として大人の世界に生きる面の、バランスが欠けた感じでした。



映画では、戦後、軍から依頼を受けた航空機を納品していないことを横領だということで、公聴会に引きずり出されるものの、思いのたけを素直にぶつけまくり、反対に議長をやり込め、巨大な<ハーキュリー>の試験飛行に成功を収めるところで終幕となっています。



気になって、その後のハワード・ヒューズの人生を調べると、精神の安定を欠くことが続き、居室にしたホテルの部屋でなくなったそうです。



そこそこが幸せ、ともいえるけれど、これだけの財力と容姿(長身のいい男)で当時の輝ける大女優たちとつきあって、好きな飛行機にのめりこんだ人生、傍目で見る分には波乱万丈で興味のわく人生でした。



バランスを欠いた人って、友達にはなれないかもしれないけれど、面白いのだった。
そして、その素材が飛行機っていうのが、夢いっぱい。今だとマイクロソフトとかアップルとか、IT関連のリッチマンの話が多いけれど、飛行機野郎というのが古きよき時代、現実に手触りがあった頃のお話なのでした。