2008/12/21

『サラリーマン合気道』箭内道彦

ISBN:978-4-344-01551-7



☆☆☆☆



きっかけは、フジテレビ(フジテレビ) No music,No life(タワーレコード) 一晩で54パターンCMを流したUNO(資生堂) などなどなど。面白い、気になる広告をつくっている箭内道彦の仕事術指南。



タイトルのふにゃららした文字、流される、という言葉のイメージを覆すような、仕事との関わり方です。相手の懐に飛び込んで、翻弄されながらいいものを作ろう、という。したたかだし、冷静な考えの持ち主のよう。
自らの体験、経験をもとに書かれているので具体的でイメージしやすい。が、広告業だけの話ではなく、人とどう関わるか? 仕事をうまく進めるポイントはどこか?という普遍性もあるお話満載。



すでにサラリーマン歴が長い人はそうそう、と思うかも。そして青々とした燃える若きサラリーマンには、息苦しくなったときに読むと新しい発見がありそう。



きっと箭内さんはとても真面目で努力家で負けず嫌いな面と向き合って、今のような金髪姿になったのだろうと推測します。
ひとりで仕事しろ、と書く一方で愛されよう(助けてやろうと思われる人になろう)とも書くあたり、バランスのいい方だとも思いました。



フリーペーパーの「風とロック」も読んでみたい。
http://www.kazetorock.co.jp/





2008/12/20

『<少女小説>ワンダーランド 明治から平成まで』菅聡子



『女学生手帖 大正・昭和乙女らいふ』

中原淳一の絵に吉屋信子の『花物語』一部掲載。大正~昭和期の「女学生」という妻に、そして母になる前の猶予を与えられた少女たちの文化を図録たっぷりにまとめた一冊。



当時の雑誌にのった悩み相談がお答えとともに面白すぎでした。



妹のようにかわいいと言われてせっぷんされたけど、妹とはせっぷんしないと思うがどういうことですか(結婚前の男女はしてはいけないし、結核感染のおそれもあるから非衛生です、とのお答え。道徳と衛生の観点から諭してます)



足が太いんです、とか、毛が濃いとか、美容相談にも自信満々にお答えしてて、何とかバンドを巻けばよい、とか、何とかクリームを塗りなさい、とか。



2008/12/01

『斎藤祐樹くんと日本人』中野翠

ISBN:978-4-16-660568-2 文藝春秋 2007年



好青年で、豪胆で、昭和の香りがする・・・2006年甲子園を湧かせた「ハンカチ王子」斎藤祐樹くんについて。



マウンド捌きの美しさ(マウンド上の所作がキレイだという意味で書いている)、映画のスター市川雷蔵や三浦友和を思い起こさせる涼やかな目元、と斎藤くんの魅力について語った1冊でした。



今どきこんな子がいたなんて!と、男女ともに懐かしいような、あるいは母性のような?そんな気持ちになるという斎藤くんなのでした。気の強そうな感じ、頭脳プレイも見せるうまさ、確かに斎藤くんは惹きつける力を持ってますね。
道産子としては田中くんのほうがカワイイなぁと思って見ていました。





『クララ白書Ⅰ』『クララ白書Ⅱ』氷室冴子

コバルトがまだ元気で、X文庫が出た頃に思春期の入り口にいた私。ですが、氷室冴子はあまりツボではなくて、読んでいなかったなぁ・・・とふと思い(逝去されたと聞いたせいものあります)、友人に何から読めば?と聞いて薦められた。



1、氷室冴子と私(と友人も)、同じ大学の同じ学部出身だし。
2、札幌が舞台だから親近感沸きまくり。



確かに!たいてい小説は住んだことや見たことの無いものでも、想像で読むけれど、あまりに脳内でリアルに湧き上がる情景におかしささえ感じられました。マリア像が目に浮かぶよ・・・



女の子たちに、友情とかほのかな恋とか、まだ何者でもない自由さとか、勇気とか。もしも知小学生の私なら、もっと親近感が湧いたのか?
全体に明るいので、ツライ状況にもしもあっても、きっと大丈夫と元気をもらえるような小説かもしれません。



ただ、なぜ小中学生の頃に氷室作品を読まなかった理由を、読みながら思い出しました。
主人公がいい子で、あまり好きになれない(この年頃で主人公が好きじゃなかったらまず2作目は手にしませんね)。
舞台が普通の生活をあまり逸脱しない(その頃、ミステリとSFにも染まっていたので、普通のお話にあまり興味が湧かなかった)。



今、読んでて1番ダメだわと思ったのは、大学生の光太郎に対する態度が、いやだ! 
あんなおじさんって!ひどいわー。しーのちゃん、ひどすぎ。いい子のフリだ・・・ご馳走になっててその言い草、甘えん坊さんー。
私の長女体質が妹キャラのしーのへの憎しみになっているのだろうか。



キャラだけなら、変人らしいマッキーのほうが好みでした。わがままでもいいから、自分の言い分を通す気の強いキャラのほうが好きなのです。







2008/11/26

『感染地図』スティーブン・ジョンソン

ISBN:978-4309252186



☆☆☆☆☆



19世紀半ばの、ヴィクトリア時代、世界最大の都市だったロンドン。下層の人々の住む地域でコレラの感染があっという間に広まった。
コレラは原因も治療法もわからない、致死的な新興感染症で、インドとの貿易が拡大するなかで、交易網に乗ってイギリスを襲うようになっていたのだった。



当時の常識ではコレラは悪臭や死人がつくりだす「瘴気」が原因だと言われているなか、目に見えない細菌が原因だとする説にどうやって至ったのだろうか? 
これは原因がコレラ菌に汚染された井戸水だとされ、ポンプの柄が外されるまでの1週間たらずの間の物語ともいえます。



章立ては曜日ごとに分けられ、二人の探偵が原因を突き止めるまでを時系列で一緒に追っていくような展開、面白い。



探偵のひとりは、ヴィクトリア女王の無痛分娩を成功させた麻酔医、ジョン・スノー。ひとりは渦中のブロード・ストリートの牧師、ヘンリー・ホワイトヘッド。



実験、仮説、実験、思い込みを排除し、理論立てて原因を突き止めるスノーの冷静な知力と粘り強い調査と、毎日のように住民と接する経験から、汚水や無知が病気の原因ではないとの実感が手を結んだとき、目に見えない細菌が冷たく美味しいと評判の井戸水に流れ込んだことがコレラ感染の原因だと突き止めるに至ったのだった。



彼らの足取りと推理の過程とともに、なぜそれまで原因がわからなかったのか、なぜロンドン市の役人たちが反対の立場をとったのか。
当時の医学の常識や市民、マスコミ、医者までもが信じていたでたらめな治療法などを織り込んみながら、彼らの生きた時代の常識や雰囲気も味わえるのが、この時代を立体的に感じ取ることが出来てよい。



たとえばー、人口が爆発的に増えたのに、下水は未発達だった。さらにそれまで各家で溜めていた糞尿は、清潔な!水洗式トイレの登場で、大量の水を含んだ汚水では、すぐに肥溜めがあふれるようになった。あふれた汚水は下水にも、道にも、川にも流れ込み、ロンドンは最悪の悪臭都市になっていたのだ・・・というような。









2008/11/08

『腐女子化する世界 東池袋のオタク女子たち』杉浦由美子

ISBN:978-4121502292 2006年 中央公論新社



☆☆



「腐女子とは・・・」との出だし以外は、各評論家の言葉を受けて、賛成したり反対したりするばかりで、うすっぺらいのであった。残念。



だいたいオタクって書いてるけど、オタクの定義もしてくれてないので、もう、いい加減なものです。



これを読むと、腐女子は30代しかいないのかと思うくらいに、30代の素敵な女子をピックアップ。ふーん。格差社会のひずみだの、社会での女性の立場が男性同士の恋愛を描く小説・漫画を愛読する腐女子を生んだらしい。



って、ものすごくそれは視野が狭い断定で、乱暴すぎます。新書ってこんな内容でいいならアタシだってずうずうしく書けそうな気がして来るんですけど。