ISBN:978-4163695808 文藝春秋 2007年
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墓碑には「少なくとも最後まで歩かなかった」村上春樹
「走る」ことを軸として、走り始めたころから現在までの作家としての気持ちのありよう、姿勢をからめながら、近すぎず離れすぎず自分自身について見つめています。
エッセイや、インタビューなどで表現してはいるけれど、積極的に作家としての自分について自分がどう考えているのかを、これほどたくさん書いたものはなかったと思います。
ハルキに対して根性などという言葉があまりに似合わなくて、もっと別の言い方はないかと考えてみました。自分に妥協するのがいやなんでしょうか? こつこつ、とか好きですよね。こつこつ。
不健康な精神も健康な肉体に宿るそうです。不健康な精神に耐える強い肉体で臨んでおられるようですね。長生きして、ぐいぐい井戸掘りができると良い・・・のかな。
「18 ’till i die(死ぬまで18才)号」でカーブのある坂を下りながら、恐怖も感じているなんて、そうか怖いけど、バイクに乗っているんだなぁと感心。そして、大怪我しませんように、と本に向かって祈る。長生きしてほしいので。できれば私より。
それから、ゴールで待っている奥様がかけてくれる温かい言葉にじんわりしましたヨ。クールを目指してカッコつけたり冗談を言ってるハルキの、殻の中がちょこっとだけ見えたようで。
走ることに限らず、社会や物事に対してどういう態度で向き合うのかを、村上春樹の物語やエッセイから学んだなぁと思う。
学生のころ、あんなに毎日のように読んでたのに泣きたくなるような気持ちは起こらなかったのに! いまは切なくて大変。このエッセイでも、じーんとして胸が熱くなりましてよ。