2009/11/12

『どんとこい、貧困!』湯浅誠

ISBN:978-4652078464 2009年 理論社



☆☆☆☆☆



「よりみちパン!セ」叢書のひとつ。少し前に雨宮処凛の本を読んだときに出てきてたので、10代向けなら噛み砕いてあるのではと思い、読んでみた。



貧困、という言葉が言われるようになっても、まだ遠い話のようにも思えます。ただ、私も官製ワーキングプアにほぼ該当する身分ゆえ、自分がどういう立場なのかも(今さらですが)知らないといけません。



生存することだけが「生きる」ことだろうか?と著者は訴えてます。友達と遊びたい、興味のあることにチャレンジしてみたい、おしゃれしたい、美味しいものを食べたい。それって贅沢なことじゃないよね、と。



人と繋がる、社会的な存在でいることには、多少のお金の余裕が必要。でも、一生懸命、フルタイムで働いてもそれが叶わないなんてどこかオカシイと思わない?



まさに、その通り。今まで私が幸せに生きてこれたのは親や夫のお陰だ・・・ありがとう。私にはイザというときに頼れるもの「溜め」があります。
でも、家族のたすけがないひとだっています。そういう人だって、同じようにもしもの時には、社会が安全ネットを張って助けるべきじゃないか、という主張です。



何をどうしたらもっといい社会になるのか。問題意識を発見すること、自覚することのために、適した本でした。



説明のしかたが、身近で納得できる例を使い、整理された説明で納得できる。
語る言葉も、読者と同じ目線から語っていて偉そうじゃない(活動家は何かと怖そうで偉そうに語るからいやだよね、と著者も言っている)
100%ORANGEのイラストも怖がらせなくて良い。



たくさんの人のなかにこういう考え方が広がっていけば、もう少し温かみのある社会になると思いました。





2009/10/22

『イケメン美術館』中山庸子

ISBN:978-4-562-04049-0 2007年 原書房



☆☆☆★(3.5)



美術の高校教師でもあった著者の心を捉える「イケメン」を、実際に見たときの思い出とからめて顕した一冊。



旅先で「いい男まつり」をこっそり開催している私にとっては、やっぱりそうだよ!とわが意を得たりの視点です。



美術・芸術を楽しむのには、それぞれの観点があるでしょう。美術史の観点、名声を得たものを見る、貴重なものを見る、お気に入りの作家、お気に入りの国・・・などなど。



私はグッとくるかどうか。



色気が出てるものとか、はみだしちゃってるものがあるとか、そういうものには強く興味がわきますね。反対に、整ったもの、というのも時代をうまく乗せてたりして面白いことも。



面白さではもっと評価したいけれど、これがお気に入りのイケメン!というのに、図版が小さい&モノクロ。この程度にするなら文庫書き下ろしでもよさそうです。
ラファエロやミケランジェロ、ダ・ヴィンチに紙幅を割いているため、内容はイタリアのフィレンツェ、ローマ、ヴァチカンが主で、あとはフランスのルーブルが少し。



フィレンツェに旅しながら、ウフィッツィに行かなかったんですよねー。また来るための口実、と取ってあるんですが、早く行きたくなりました。





2009/09/27

『恋文の技術』森見登美彦

ISBN:978-4-591-10875-8 2009年 ポプラ社



☆☆☆☆ こんなにお手紙書いてたら、研究どころじゃないよ!

一筆啓上。文通万歳!
京都の大学から、遠く離れた研究所に飛ばされた男子大学院生が一人。無聊を慰めるべく、文通武者修行と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。手紙のうえで、友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れー
」書籍帯より。

能登半島でくらげ研究のため送り込まれた守田一郎くんが、半年少々の期間に書いたお手紙集。恋文の技術は習得できたのか?



お相手からの返事はなく、ひたすら守田くんが書いたものがお相手と時系列順に並べてあります。



手紙の相手は、京都に残る友人マシマロ小松崎くん、大王と呼ぶ美人の大塚先輩、以前家庭教師をしていた小学生の男の子、妹、そして恋文の相手伊吹さん。



お返事が書かれていないので、読み手は守田くんが次に書いた返事から推測していく楽しさがあります。
しかも、この相手はそれぞれゆるくつながっているので、小松崎くんとのやりとりで一部不明だったことが、今度は大塚先輩へのお手紙で判明したり。パズルみたい。
相手によって、文体が違いを見比べるのも楽しい。同じことを伝えるのに、微妙に変わってます。



どこまで本気かという内容のであっても、研究の行き詰り感や、大学を出たらどうしましょうという不安を吐露するお手紙も混じります。
自分を装飾しつつも、自分を客観視もしていくのが手紙の醍醐味でもあり。そのあたりの自意識のあり方もなかなかです。



モリミーは憧れのあの子を思って悶絶してるのを書くのがピカイチでしょう。
ダメダメくんと見せかけて、熱いハートがたぎってます。社会的、金銭的にはイケてなくても、人として魅力あふれまくりの好青年・・・(さわやか、とは違う)。



相変わらず甘酸っぱいモリミーのお話。へたれくんの奮闘を読める作品でした。
腹黒さが出ていないけれど、それはお手紙に守田くんが腹黒さを出さなかったと受け取ることにしました。ダーク守田くんも読んでみたいが、そういうのは投函されないのよね。



恋文とは、なにかの定型があるわけじゃなく。恋心があれば、恋文となる。技術を駆使しないほうが伝わる・・・ことを、膨大な手紙を書いて気づいたようです、守田くん。





2009/09/21

『星間商事株式会社社史編纂室』三浦しをん

ISBN: 978-4480804204 2009年 筑摩書房



☆☆☆



さくっと読めて、読後感さわやか。ちょこっとコミケの事情もわかる特典つき。



■5時に帰れる部署がいいと申し出た川田幸代の転属先は、「社史編纂室」。なぜって、会社以外の時間は、オタク趣味に没頭したいから! コミケに出店しなくちゃいけないので、原稿書きに忙しいのだった。



同僚といえば、切りのいい創業年を越したのに、ちっとも進んでいない社史編纂室の仕事ぶり。ここにいるのは、いるらしいが見たことがない幽霊部長、ふらついてる課長、合コン三昧の男、ひらひらの洋服と胸元で誘う年下の女子。



戦後日本の高度経済成長時、会社もイケイケドンドン、事業拡大していたというのに、なぜか語らないOBたち。そこにどんな暗闇が潜んでいるのか?



キーになるのは星間商事の名前入り原稿用紙。東南アジアの小国サリメニ共和国との関係は?



■幸代のオタク趣味が、会社が闇に葬った出来事に光を!



会社員もののファンタジーというのか・・・ミステリほど謎解きはしないし、恋愛モノでもなく。人が自分の能力を発揮して一致団結して頑張るのって爽やかです。
おじさんがいきなり編纂室でも「同人誌」発行しようって叫ぶのはびっくりですが、ファンタジーならいいのだ。



■三浦しをんの書く男女の関係性って奥ゆかしくて、いじらしくて好きだ。



それぞれがそれぞれの世界を持っていて、でも、相手を必要としていて。支配関係じゃなくて、寄り添うような。





2009/09/18

『雨宮処凛のオールニートニッポン』雨宮処凛

ISBN:978-4-396-11086-4 2007年 祥伝社新書



☆☆☆☆



雨宮処凛がパーソナリティを担当したネットラジオ番組「オールニートニッポン」2006-2007年から収録。



ひきこもりとニート、それから派遣労働のことをきちんと考えたことなどなかったなと反省させられる内容。
やりたいことをしたい、というものの、実際のところ私も官製ワーキングプアっていうカテゴリに入るというのに、のん気にしててごめんなさいだ。



読んでいくと、閉塞感を打ち破り、現在の硬直した格差(身分というか)を解体するには、戦争しかない、と雑誌に論文を書いた赤木智弘をはじめ、そこまで悲惨なのか!? 驚いてばかり。



自分と他人と比べないから、いや→正確にいうと、「お金よりやりがいを選んだ」と思うことで気づかないことにしてたけど、キャリア10年でどんどん給料が下がるって問題ありです。
同一労働、同一賃金。



雨宮処凛をはじめ、ほとんどが同世代なのも同じ日本にいながら違うものを見ているのだというのも衝撃でした。
使い捨て労働力として扱われることには、反対したいと思う。細切れの仕事でも、1ヶ月働けば家賃と食費と、遊興費もちゃんと残るだけ受け取れるようにすべきです。



最後の回が大槻ケンヂなのが、世代だなぁと微笑ましくもあり。





2009/09/17

『猫と庄造と二人のおんな』谷崎潤一郎

1951年 新潮文庫



☆☆☆☆



猫がタイトルにあったので何気なく読み始めたら、谷崎~すごいな。いい。



話の真ん中に置かれているのは年寄り猫(でもまだキレイらしい)のリリー。
そして、リリーを溺愛している庄造。
後妻の福子、元妻の品子。それから庄造の実母おりん(庄造夫婦と同居)。



うだつの上がらない庄造は、おりんと福子一家の差し金で、気が強い品子を追い出すことに成功したものの、福子はだらしがない女で、暮らしはじめたところで庄造は好きなのかどうかもよく分からない。
庄造が無償の愛をただただ注ぐ対象は、猫のリリーである。



追い出された品子といえば、夫婦でいた間はいつも二人の間に居たリリーが憎らしかった。しかし、いずれだらしがない福子に嫌気がさして自分を家へ迎え入れるだろうとの目論見から、庄造との関係を繋いでおくためにも、せめてリリーを下さいと哀れな嘆願。



芝居を打った甲斐あって、庄造夫婦からリリーを連れてきた品子、あんなに憎かったはずのリリーが可愛くなってきたのはどうしてか・・・ 
なぜ自分はこの可愛らしさに気づかなかったのか、それこそが家を出された理由だったのではないか。自分にこんな愛情があるとは思わなかった・・・



リリーを手放した庄造、受け入れた品子はリリーを可愛がる自分の愛情に驚くのでした。



とにかく猫への愛情の偏りぶりが、そうそう、と唸ってばかりの核心をつきます。
庄造、品子ともに自分を本当に理解してくれるのは、この猫ばかりと話しかけ世話をする姿、他人とは思えない猫バカぶり。
人間への愛は損得、世間、自己主張、と上手く行かないことが多いのに、猫に対しては奴隷である自分の姿こそが本当の自分と感じるほどの低姿勢に。



人を、女性を良く見ている作家だ。いまさら気づいたけど、そのうち大作も読んでみたい。







『ウィーントラベルブック』塚本太朗

ISBN:978-8085-8523-5 2009年 東京地図出版 1600円



☆☆☆☆



ドイツ雑貨店マルクトのオーナーでもある塚本さんが、ウィーンへ取材旅行。探して見つけたお店やアーティスト、会社(カメラの「ロモ」とか)などを紹介。



はー、ウィーンに行きたい!行きたくなります!



観光ガイドは「~歩き方」でチェックして、こちらは蚤の市、リサイクルショップ、ステキカフェ☆、手芸店、などなど。オトメセンサーの針がびゅんびゅんくる可愛いものをチェック。
スーパーのオリジナルブランドや、老舗のスウィーツも抜かりなく掲載されてます。



いけなくても、ぱらり眺めているだけでわくわくしてきます。





2009/09/11

『オバマ・ショック』越智通雄 町山智浩

ISBN:978-4-08-720477-3 集英社 2009年



☆☆☆☆



オバマ大統領がショックなのか・・・と思い手に取ってみた。新書だからタイトルにあまり意味はなかったのでした。



アメリカという国がたどった政治的視点からの歴史、2大政党の支持者層の変化と、選挙戦術が中身の半分を占めます。オバマとは直接関係ないけれど、アメリカ史なんて全然知らないので、分かりやすくまとまっていて読み甲斐あり。



さらに歴史のなかでアメリカ人が「土地」をどう自分のモノにしてきたか、を示しながら、サブプライムローン問題が起こった経緯について語っています。市民にとってのアメリカン・ドリームは家を持つこと、という見方は新鮮でした。マイ・ホーム。



土地や家屋の価値が今まで下がったことがなかった、って!日本のバブルの話は耳に入ってなかったんでしょうね。単に金儲け目的かと思っていたけれど、政府からの老後の保障がないから、手を出したというのが大国アメリカの別の顔です。



アメリカ在住の町山氏の実体験も語られ、日本人で、コネもないのに、もどんどん貸そうとしてたという状況が挿入されているのも、対談ならではでしょう。



そしてこうなったアメリカが「オバマ大統領」選んだ理由、というのが最終的に語られます。



オバマはアフリカ系アメリカ人の代表ではなく、自分の民族アイデンティティがどこにあるのかが確かでない(今のアメリカに増えている)アメリカ人として、新しい大統領と言えるのかも。
疲弊して、行き詰ったアメリカを外から=アウトサイダー、やってきて助けてくれるスーパーマンに重ねて越智氏が話すのは、大統領選で涙を流す人たちの映像と合わせて考えると納得します。その期待が裏切られたと感じたら、どうするんでしょうね。





『勝てる読書(14歳の世渡り術)』豊崎由美

ISBN:978-4309616520 河出書房新社 2009年



☆☆☆☆☆



14歳のときにこういう案内本を読めていたら、もっと生意気ないい感じの子になったかもと思わせてもらった。35歳でも、もちろん楽しいけど。



世界は広い、色んな人がいて、考え方も行き方もいろいろあって、その一端を感じられる読書ってやっぱり楽しい。震える。



いわゆる教科書的な良書(と言われているもの)ばっかりのホコリ臭そうなものなんて、最初から興味ないし。だいたい、読みたい!って思わせるような書き方してません。



それから、博覧強記の素敵な文系おじさまとかがすすめる本も、なんだか凄すぎて、やっぱり自分が読みたい気にはなれない。



そんな案内本の世界に、教養系でもなく、知性高すぎでもなく、思わず読みたくなってしまう本をたくさん紹介してくれているのがコチラでした。
自分の星座をつくろう、ということで「デス座」「新訳座」「キモメン座」などと分かれています。



新旧おりまぜてあり、トヨザキ氏がどこに興味を持っているのかを読むと、私も引き込まれるものがたくさんありました。





2009/08/31

『電波男』本田透

ISBN:4-86199-002-5  2005年 三才ブックス 1500円



☆☆☆☆



よかったっていうんじゃなくて、よくこんなにたくさん書いたなぁで4つにします。熱意を感じます。



オタク(キモメンとも同義語で使用してます)な「俺」の愛を求める叫びが400ページにわたって展開。
80年代頃より恋愛至上主義が世間に広がり、結果、恋愛資本主義の時代が到来。
女性は金のあるイケメンを恋愛ヒエラルキーの上におき、オタクたち金もなくブサイクな男を人間以下のカテゴリへ落とした・・・ああ涙の物語。うんうん、それは人間を一面でしか見てないとお怒りなのはごもっとも。



ただ恋愛至上主義、というのは理解できたんですけど、後半さらに熱弁をふるう「萌えレボリューション!」は私には腰が引けちゃったのでした。



男を金と顔でしか見ない女性には、女を性的欲求のはけぐちくらいにしか見ない最低のDQN男ばっかりだー! でもキモメンは本当の平等の愛を求めるがゆえに、いつもそんな女性に馬鹿にされてしまう・・・。



そうして馬鹿にされると殺人を犯したり、暴行してしまう最低の人間になってしまうところを救ってくれるのが!
「萌え」。



まず、人によって「萌え」の対象はさまざま。相手を選ばない。
二次元の世界の子に「萌え」た場合、その子は決してあなたを裏切らない。
ので、みんなが脳内でピュアな恋愛を繰り広げていれば、暗黒面に落ちることなく平和が訪れるのです。



・・・これはこれで、あまりに純愛を求めすぎる繊細な要望だなと思うので、おおそうだ!とはならないものの、私も脳内劇場を持っているので、平和になるというのは1票いれてもいいかも。
現実世界が殺伐としているこのごろならば、心の幸福をもたらす「萌え」をさらに普及していくのも手なのか。





2009/08/16

『プロジェクト鹿鳴館!ー社交ダンスが日本を救う』鹿島茂

ISBN:978-4-04-710191-3 角川書店(角川Oneテーマ21) 2009.5 705円



☆☆☆



日本を救う、とは結婚率低下、出生率低下、を舞踏会によって救おう!というプロジェクトを「月刊現代」で行ったもののまとめ。



鹿島先生が目標とするものは、知り合ったばかりの男女がダンスというシステムを介して、肉体的、精神的な交流をもち、出会の場とする。本当の意味での「社交」目的の「ダンス」。つまり、競技部のように完璧に踊れなくても、ある程度踊れれば楽しく参加できるものを目指すのです。



編集者たち(結婚したいが相手がいないと嘆く女子が多いと著者はいう)を中心に、最終的に三井倶楽部を借りて黒塗りのハイヤーで正装した男女が集い、楽しく出会いの場となった当日までを追ったもの。



日々、仕事場の目の前で社交ダンスが繰り広げられているので、興味深々で読みました。
現在、私が「社交ダンス」と聞いて思い浮かべるのは、中年以上の方がミピンク色のもやを醸しながら踊るもの、と、男女というか、アスリート?という感じの競技ダンス。の二つがあるんですが、どうしてそのようになってしまったのかも分かります。



社交ダンスを習いにいくエピソードの合間には、日本における「社交ダンス」の歴史が挿入されていて、そちらのほうが面白く読めます。



外国との外交に必要だった舞踏会というものを井上馨が奮闘した明治の鹿鳴館時代に取り入れ、太平洋戦後直後のGHQとの憲法草案での天皇制に関する駆け引きにダンスパーティを使ったこと、三島由紀夫の時代を経て、現在まで。



お相手が紳士で踊りが上手なら、ダンスも楽しそう・・・・かな。ドレスは着てみたいもの。









2009/07/18

『島田教授の課外授業』島田雅彦

ISBN:978-4-579-30428-8 2009年 文化出版局 1300円



☆☆☆☆



『ミセス』2005.6~2007.12月号掲載の「島田雅彦の母親のための課外授業」などを再構成したもの。



思春期、親子関係、教育の悩み。経済問題、人間関係、家庭生活。そして母親自身の問題・・・生きがいについて、年齢を重ねること、幸せについて。



社会人としてまっとうに生きるにはどういう考え方をすべきか?を語っています。



完璧な環境を用意したと思っても、子どもが思い通りに成長するはずもなく、結局は自分で自分を愛し、周囲との関係を築いて、その子なりの幸せをつかめるような体力をつける手助けをするだけということ。



実際、子育てしていると毎日が大変なんでしょうが、たまにこういう基本を見直せるようなアドバイスをみるのは効果がありそうでした。



最終的には子どもの心配より、自分はどうなの?っていうことですね。手ごたえのある納得のいく生活をしている親を見ていれば、それなりに子どもは育つとのこと。



各相談の最後に、島田先生の文士コスプレ・・・やら、釣堀休日を演出したお写真が入っているのがス・テ・キ。
こんなに美☆おじ様なのに、世間的にはどうなんでしょう。小説も面白いと思うんだけど。





2009/06/23

読みかけ

橋本治と内田樹』橋本治と内田樹の対談。



小説作法ABC (新潮選書) 』島田雅彦



『図書館内乱』有川浩

ISBN:978-4840235624  2006年 メディアワークス



☆☆☆



この甘甘ストーリーの本を、ハードカバーの体裁で読むのはツライ! ソフトカバーか文庫で読みたい内容です。図書館業界のはしくれにいるので、レファレンスの話などはウンウンと頷きながら読めましたけれど。



素直に郁と堂上教官の恋の行くえを心配するとか応援する気になるよりも、こんなに職場で恋愛モード全開の図書館なんて嫌だよう、と思ってしまう。のは、私の年齢のせいなのか。
青春!なお話で主人公・郁を応援したくならないのは致命的かも。



防衛部にいることを両親に隠したいだなんて、そんなの隠さなくていいんだし(物語にならないですけど、だたの子どもじみた理由からなので、イラっとする)。
美貌の情報通、柴崎の過去を振り返りつつの駆け引きのお話は楽しく読みました。



私には甘すぎて入り込めないようですー。次作までは手が伸びません。





『腕貫探偵、残業中』西澤保彦

ISBN:978-4408535296 2008年 実業之日本社



☆☆☆



市民ザーヴィス課の腕貫(はめた)職員さんの、勤務外でのできごと連作。今回は腕貫さんの美味しいもの探索趣味もわかって、人らしい側面がでてました。1作目『腕貫探偵』では、実体があるのかどうかも不安になるくらい薄い(けど、鋭い)ヒトだったので。



超美形女子大生が探偵さんにからみまくってきゃぴっとしてるのが、西澤節です。ミステリの方向としては、1作目のほうが小さなところから大事件って感じの展開で私の好みでした。



でも、腕貫さんよりも匠千暁と神麻嗣子シリーズ、次が読みたいのう。





2009/04/13

『草食系男子の恋愛学』森岡正博

ISBN:978-4840123761



☆☆☆



私が想像する草食男子(深澤真紀いわくの)の話というより、恋愛に臆病だったり人付き合いが不器用な恋愛したい男子のために書かれたものだった。「恋愛学」じゃなく「心構え」というほうがぴったりする。



雑談から始めて(お天気の話など良いとあって、笑いました。確かに!無難)、
キスして(暗闇はいけないそうです、要らぬ恐怖を与える可能性があるから)、
セックスして(「イヤ」のパターンについて解説あり、へぇぇ)、という流れです。
女性に対して誠実で素直に、というのが軸です。これは恋愛対象だけの話じゃなく、人間関係全般に当てはまる指南書でしょう。



ところで月経前症候群のことまで書いてあるのには驚きました。そこまでご存知の男子はすごいです。生理の時は寒い屋外でのデートは避けようとか、ホントこれを全部できる男子は良い男子です・・・。
思いやりがあれば、そしてそれを態度に出せればいいんですけどね。







2009/03/17

『信じない人のための<宗教>講義』中村圭志

ISBN:978-4622072928



☆☆☆☆



ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー、仏教、儒教・・・神道、世界の宗教のうち広く知られている宗教ごとに、著者は日本人の目線から、特徴とその世界観、国家の関係について語り口調で解説しています。



近代になって、効率化、民主主義化した世界からは、いわゆる信仰は捨て去られ、新しい近代的な賛美の対象が新しく信仰されるものとなったと。そして、そこで初めてあなたの「宗教」は何か?(もしくは私の宗教は何だろう?)という問いかけが生まれ、「宗教」が浮かび上がってきたと言う。



どのような宗教なのかではなくて、それを信仰する心が思う世界はどのようなものなのかについて語ってくれます。



「宗教」についての本というと、つい何を神さまとしてどのような行いをして、組織はどうだとか、そんな話を思いがちだけど、「宗教」をモノサシにしてみる世界をどう捉えるのかと考えると、宗教戦争などを想起させる重苦しいイメージから離れることができます。





『美女と竹林』森見登美彦

ISBN:978-4334926243



☆☆☆☆



登美彦氏愛する竹林(と・・・美女)をテーマにお話をこねくり回した1冊。登美彦氏ファン以外には、なんじゃこりゃーの1冊。



そして、本からは良い香りがします。インクに香りがついてたのかしら(ご本人ブログに薫るかも、と書いてありましたよ)
さすが森見・バンブー・登美彦! MBCモリミ・バンブー・カンパニー代表!



日差しがキラキラ入り込む竹林を仰ぎ見て爽快になりたくなります。北海道育ちの私には、竹林は憧れのジャボネアイテムだな。北海道に孟宗竹は生えないので、かぐや姫も見つからない・・・美女?





2009/02/15

『ひとりでも行けるオペラ極楽ツアー』石戸谷結子

2008年9月 朝日新聞出版 2200円



ISBN:978-4-02-250431-9



☆☆☆☆☆



表紙からしてまばゆい~ ただうっとり眺めるだけでも楽しい本でした。



イタリア、オーストリア、チェコ、ハンガリー、ドイツ、フランス、ロンドン、NY。各都市のそれはそれは素敵なオペラ座をカラーページたっぷりに紹介しています。
これでもかと豪華絢爛で夢のようなオペラ座もあれば、モダンでシックな近代的なものもあり違いが面白いです。



劇場情報だけでなく、それぞれのオペラ座の歴史とともに、国と各都市の歴史も、そして著者おすすめの美術館&グルメの観光案内もあります。また、その劇場で観たオペラのことや、お勧めの指揮者、歌手についてと情報盛りだくさん。



まだ海外でオペラ聞いたことがない・・・今度こそ!





2009/02/14

『数字のモノサシ』寄藤文平

ISBN: 978-4479391821



☆☆☆☆



いろんな「モノサシ」で世界を見てみような一冊。
100円のサンマを20円引きしてもらったら喜ぶのに、100万円の車から20円引きされると嬉しくない(むしろ何だか気分が悪い)のはなぜか? 行動経済学の考え方を参考に、人の数字に対する意識を掘り起こします。



おなじみの数字だと、同じ人に対しても・・・キログラム、リットル、回。などいろんな切り口があります。視点の多様さ、視点=モノサシが動くことで新鮮な気持ちもなれます。その楽しさを、寄藤さんがあのイラストでますます楽しく表現。



遊び企画としては、著者オリジナルモノサシも。例えば



「仕事の達成度」 adn[エイドリアン]
終わったー!と天に掲げる拳、100adn、仕事帰りのビールのうまさに比例。



「待ち続ける忍耐力」 kh[黄色いハンカチ]
夕飯に腕をふるった日、相手が帰って来なかったら1kh、帰ってこないと分かっている日も二人分の食事を作り続けたら100kh。映画『黄色いハンカチ』より。



ぜひご家庭に一冊。





2009/02/01

『プラスマイナスゼロ』若竹七海

ISBN:978-4861766114



☆☆☆



おなじみ葉崎を舞台に、山の上にある真ん中クラスの高校に通う3人の女の子たちの連作ミステリ。タイトルのプラスは、超お嬢様(だが、とことん運が悪い)。マイナスは超極悪腕力娘、そしてすべてが平均値、の3人を指してます。



もっと軽い感じかとも思ったけれど、さわやかに明るく進行するのに意外な毒があるところは、若竹さんならでは。だから好きなんですが、なかなか新作を書いてくださらない・・・



この3人の言葉に出さないけど信頼してる青春!な雰囲気も良かったので、長編でも書いてほしいです。



2009/01/19

『石川三千花の勝手にシネマ・フィーバー』石川三千花

ISBN:978-4-16-370770-9



雑誌「CREA」2004年1月号から2007年5月号まで連載をまとめたもの。



自分の人生と、その時の思い出の映画を一緒にしつつ振り返る一冊。ページによっては映画の話はさらっとになります。



今のように情報が手軽に入手できない30年前にパリに留学したあたり、勢いがあって面白かった。自分の国を相対化して見れるって視点が増えるのはいいですね。





2009/01/15

『脳を活かす仕事術 「わかる」を「できる」に変える』茂木健一郎

ISBN:978-4569701936



☆☆



仕事術とあるけれど、人生術というほうが良さそう。感覚系(インプット)と、運動系(アウトプット)の両輪を動かすことで、生きる質を上げていくことができるという。



ざっくり言えば文武両道、このふたつは補完的なつながりがあるという点の説明は分かりやすくて良かったです。が、感動が原動力となり、学習意欲も高めるって、そりゃそうだよねといいますか。楽天的に考えよう、とか・・・も、そうだよね、と。サイエンス風を装った自己啓発にも読めてしまうあたり、こんなんで1100円って、いいのかなぁ茂木ちゃん。



いろんなところで言われているような脳の使い方、をさらっとおさらいし、自分の人生での節目にどういうことがあったか、を織り込んでます。謙虚そうで自慢気というあたりが面白い流れだったんですが、文庫になっても手元におくほどではなかったですよ。







『女装と日本人』三橋順子

ISBN:978-4062879606 講談社現代新書



☆☆☆☆



「女装」というテーマにそって、日本人の性文化、衣装文化を、ヤマトタケルから近代現代までの年代順に、丁寧に明らかにする一冊。新書としてはかなりお買得な充実の内容です。



作者、三橋さんが女装者ということで、客観的かつ実感のこもった目線で貫かれた文章が良い。歴史は、語る人によっていかようにも変わる、そして「女装」というモノサシで見ただけでも、変わるものです。



歌舞伎、今ならオネエマンズ・・・日本人は「女装(異性装)」に寛大な文化があるという。歴史に残された異性装の歴史を文献を参照させながら、解説します。



たとえば稚児は、観音と重ね合わせられる神聖さを持たされたのだ、なんて、驚きの説明に興奮しました。稚児として僧侶につかえるには、灌頂を受けなくてはいけなくて、など。稚児灌頂って有名なのかしら? 初めて知ったので、興味深々でした。
時によって失われることが分かっている「少年」に女装させるなど、児童保護的には虐待かもと感じるけれど、でも、リミットがあることで価値が増すようにしているなんて、人の想像力のすごさも感じます。



男、女、と決めるのはつまらない。男は男らしく、なんて軍事国家ですね。もっと、自由に、寛容な国になっていってほしい。





『五月女ケイ子のレッツ!!古事記』

ISBN:978-4063647228



☆☆☆☆



文学部卒だけど「古事記」をちゃんと読んだことなんかなかった・・・断片的な知識しかないし・・・というところへ、この本はガツンとやってきた。



絵にするまでに、随分読んだんだろうなぁと想像します。こちらは楽しくハイライト的に読めて、笑えて、非常にいい思いばかりさせてもらいました。
古事記の持っている勢いを、そのまま絵にしてくれた感じ。ケンカしたり、求婚したり、サボったり、楽しい古事記ワールドでした。



五月女さん的解釈の強いところでは、欄外に解釈の説明があるので、スタンダードな解釈も確認できます。





『イナイ×イナイ』森博嗣

ISBN:978-4061825314



☆☆



探偵の名前が「鷹知祐一郎」とあったので、読んでみることに。
森博嗣はけっこう好きで読んでいたけれど、細かく言えば「犀川先生」が好きというべきか・・・ S&Mシリーズ、Vシリーズは気に入っている。



探偵、祐一郎は勝手にマイラブ山口祐一郎に置き換えてみたらどうでしょ、と想像してみたものの、ちょっと違った。小説の人物に知ってる俳優を置き換えるのって、案外やりにくいものです。



トリック重視から、ずんずん会話重視に移行してしまい、いまやこんなことに・・・というのが正直なところ。双子っていうあたりと、行き止まりの牢獄、犯人はこのあたりかと思ったとおりだったので、びっくりさせられたい私には物足りなかった。



キャラもいまいちさらりと撫でた感じの書き方で、今の私にはやっぱり物足りなかったのでした。





「文学界」2008年12月号

文学界新人賞受賞作『射手座』上村渉



知っている人が新人賞を受賞しました。ペンネームでもないので、とても不思議。誌面にはモノクロの「さわやかな感じの文学青年」の顔写真もあって、ますます不思議。



不思議な感じを覚えながら、拝読しました。



知っていても、読み始めると「小説」として受け取ることが出来るものなんだというのも、発見。そうか、知っている人が書いても、本人と切り離すことは出来るもんなんだな。



ずーっと白昼夢のような、ポイントごとにリアルに情景が浮かぶけれど、全体的には白昼夢のような雰囲気でした。
とても近くで見ているのに、一枚ガラスの向こうで起きているような、そんな感触。



そこに、ここに、きっと何か隠れているに違いない。そう思いながら読む。何が隠れていたのか・・言葉にできないズレたままの、何か。主人公はきっと何も失っていないと思っているけれど、実は失っていたかもしれない、何かを。



言葉がズレでいる、ような気がする。常識と思っているものも、ズレている。でも、不誠実ではない。切ないっていうより、哀しい。







2009/01/03

『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ』大崎梢

ISBN:4-488-01726-6



☆☆☆☆



駅ビルに入っている成風堂書店で起こる事件を、書店員の杏子、バイトの多絵が解き明かす。
恐ろしい事件、ほのぼのとした事件、著作権に関わる事件。事件の発端は案外ありそうなところから始まるのが、読んでいて身近に感じるところだった。



書店バイトの経験があるので、リアルに感じられました。その後は司書になったけど、図書館でも同じように「テレビに出てたあれ」とか雰囲気しか合ってないタイトルで言う方とか・・・笑いつつ、明日もそんな人に会いそう。でも、ありがとうって言われると嬉しいんですよね。



シリーズになっているようなので、次も読んでみよう。