2012/11/25

『黄金を抱いて翔べ』

2012年



監督/井筒和幸
妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン、西田敏行



★★★★



原作:高村薫 未読。



妻夫木聡、いい顔になってきたなぁと喜ぶ映画。浅野忠信のガタイがいいのも見目麗しいし、暗い溝端淳平もいい。
桐谷健太は情けない感じと調子者のアクセントがよいし、チャンミンも(時々、木村拓哉と被るのだけど)悪くなかった。可愛がられる役ってことでいいのでは。



西田敏行・・・・うーん、哀しいね。本物なのかと不思議な太鼓腹に哀しみが詰まっていた。青木崇高が、散々なヤクザ者という役どころで素晴らしかった。



余計な女も絡まず(コレ大事)、すっきりした展開。



希望を言えば、大阪の町のこってりさが画面や言葉に足りなくて、もっとコテコテで!と思ったが、あまりコテコテにするとチャンミンあたりが浮いてしまうのかもしれないなぁ 青木崇高がひとりコテコテ担当で、楽しませてもらった。



夏の暑さ、追われるウラ世界のじとじとしたダメさ加減、ダメだけどあきらめてない。何を? 分からないが、なぜかあきらめず走っていく男たちを、陰から眺めることが出来る映画であった。



爆破シーン、良かったわ。かっこよくないの。それがいい。



タイプが同じとは言わないけれど、L・ディカプリオと妻夫木くんが重なった・・・ 悪い男であっても、一瞬、純粋さが走ったりとか、彼が痛めつけられてる姿にぐっと来てしまうところなど。



痛めつけられてるのに、甘美なヨロコビが脳裏に浮かんでしまう、そんなタイプ。あ、たとえば主役しか出来ないトム・クルーズだと甘美には遠くて、早く脱出しなよ、って思うだけだったりします。



妙なオヤジギャグがところどころで炸裂し、劇場内にひんやりした空気が流れるのも、井筒監督の目論見どおりなのよね? 面白くないギャクを言う浅野忠信、良かったです。



隣の席のおじさん(お一人様、私もだけど)が、妻夫木くんが撃たれてしまったあたりから、ぐずぐず泣き始め、ラストでは涙をぬぐっていたのが衝撃的であった。何があった、おじさん・・・



前方席のおばさま。冒頭、モモが兄を撃ったところでお前が撃たれたか!ってくらい響き渡る叫び声をあげる。ちょっとカワイイ。この後は静かにごらんになっていました。









『超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか』リチャード・ワイズマン

文芸春秋 2012年 ISBN:978-4163749204



オカルトやスピリチュアルにまつわる過去のいかさま事件と、実際にやってみようコーナーを挟みながら、それは脳の錯誤だとか、思い込みだとか、簡単なトリックなのだ、と軽い口調で(そういう訳でした)解説している本。



この手の本は何度か読んでいるので、新鮮味は少なかったものの訳が柔らかいので、こういう話が初めてならおすすめできそう。私のように、何冊かすでに手にしている人だと、物足りないかも。



脳の思い込みとか、トリックで説明できるのはいいのだけど、幽霊が見えるひととどうやって会話すればいいのかまでは、書かれていなかった・・・そこが知りたかったのだ。



他人の考えを変えることは、お互いに難しいこと。分かり合えず、平行線のままなのかしら。








『和子の部屋  小説家のための人生相談』 阿部和重

朝日新聞出版社 2011年 ISBN:978-4022508706



阿部和重が女性作家を相手に、主に小説家としての悩みに相談に応じる対談集。



のちに結婚する川上未映子とも対談していて、面白い。いつか読もうと思いつつ、手が出せていない作家・阿部和重。



彼の作家としての思考の道筋の一端が垣間見える。と、同時に、対談相手の女性作家たちの同じく作家としての思考のあり方も見えます。



人のことは良く見える、というのはこういうことかなと思うくらいの爽快ささえ漂う相談の流れに、阿部和重を見直したというところ。
読んでもないのに見直すのはおかしいから、イメージが変わったといえばいいのか。



回答は爽快ながら、阿部和重の書くものは予めゴールがあったところへ、プラス、プラス、プラスの方向らしい。
終わりが見えません、と相談していた朝吹真理子と対照的だった。



小説家の創作の多様さも感じられ、楽しそうな対談のなかにそれぞれの仕事へのこだわりなども読むことができます。



やっぱり、阿部和重は読まないといけないなと思わせる、和子さまの知的な回答でした。






2012/10/16

『ゴールデンスランバー』

ゴールデンスランバー



★★★★ -1の理由:人が死にすぎる。



原作未読。
どうしようもない悪(権力、闇社会などにあらわれる)と、一市民との対決というのは伊坂作品で何度か目にしている構図。



普通の男・・・人のいい青柳くんが、首相暗殺犯に仕立て上げられてしまうが、学生時代の仲間や、彼が今までに築いてきた人間関係によって窮地をぎりぎりしのぐという話。



普通の男ががんばるというのはいいものだけど、同時に超人的なワザもないので戦いは苦しい。そして、男にきせられた首相殺しに関わる人間たちも、大勢死んでしまい、これもつらい。



人のいい男として堺雅人はうってつけでした。いい人だけど、諦めずヤケにならず策を練るあたりが、とても好人物。
助ける仲間、後輩のカズ役は劇団ひとり。彼も普通の男らしく好感。
学生時代の恋人で、今は別の男と家庭を持っている樋口役に竹内結子。クールな娘とともに、こっそりと青柳くんを助ける。



人間の最大の武器は習慣と信頼。



人間関係あってよかったね、みんな素敵な仲間たちだったね、というアピールがあると白けるところだけど(私の好みだと、さらにクールに振る舞ってくれるほうが嬉しいが)、ぎりぎり、やるじゃん、俺たち!と拍手できるところ・・・かな。



ファンタジーすぎず、ぎりぎりリアルとファンタジーの境目なのかも。悪役の香川照之が類型的な役づくりにしているのも、きっとぎりぎりファンタジー風味を出すためなんだろうと思う。



などという点では、原作者のもつ雰囲気をよく出しているのですね。



音楽は全て斉藤和義によるもので、ロック!ロック!ロック! 躍動感があってまっすぐな音楽が青柳くんのこころの青春を表しているよう。とても良かったです。





『ソラリス』

ソラリス Solaris 2002年 アメリカ



監督/スティーブン・ソダーバーグ
ジョージ・クルーニ,ナターシャ・マケルホーン,デレミー・デイビス,ヴァイオラ・デイビス,ウルリッヒ・トゥクール



★★★



「ソラリスの陽のもとに」レフ著,が原作で,過去には『惑星ソラリス』タルコフスキー監督で製作されているそうだ。



惑星ソラリスの探査をしているプロメテウスでは異変が起き,地球とのコンタクトが取れなくなっていた。そして乗組員ジバリアンから,心理学者のクリス・ケルビン(クルーニー)あてに,こちらに来てくれとメッセージが入り,調査に向かうことに。



 



到着するとSOSを送ってきたジバリアンは遺体となっており,二人の乗組員のみがいるだけで他の乗組員も自殺してしまっていた。



夜になればわかる,と言われたその夜。



自殺のため死んでしまったはずの妻レイアが,ロックしていたはずのクリスの室内にいつのまにか居た。彼女はなぜ自分がここにいるのかが分かっておらず,自殺したことも記憶にはないようだった。
肉体も記憶もある,すでに死んだ人間が目の前にいたのだ。



クリスは彼女をステーションから宇宙へ放出。



そして二日目の夜。うとうと寝て,目を覚ますと,そこには妻レイアが再び室内に。昨日の記憶はなく,やはりどうやってここに来たのかも記憶がない。



死んだ人間が目の前に現れるのは間違っている,とレーザーのような装置で彼らを消し去るという科学者。失ったはずの妻を二度と失いたくないという執着から,賛成できないクリス。
危険なことだと理性では分かっていても,どうしても温かく美しい妻を処理することができなくなってきていた。



自分というものが,本当に間違いなく自分自身であることをう疑い始める不安感は,妻のレイアがになっていて,どうやったら保証してもらえるのか,これはアイデンティティの問題?



自分がクリスの記憶から生まれたものであると自覚した彼女は,自ら装置で消し去るよう願いでるが,クリスによって阻止されたため,薬品をかぶって死のうとするが,照射以外の方法では生き返ってしまい,まさに死にながら生きている状態。



ほぼ妻であるこの目の前のものを,妻であるとして執着するクリスは,愛の名の下に生死の境界を守ることを放棄。
最終的には,地球へ帰る船に乗らず,ソラリスへと落ちていくステーションとともに残った。



・・・アメリカ人は本当に何でもかんでも,愛の話にしてしまう!



原作も前作も読んでいないけど,たぶんソラリス的なもの,とか神の問題とかを扱っているはず。たぶん。



不安定になっていた妻は,妊娠したことをクリスに言わずに堕胎していた。もはや彼女を受け止めきれず,ケンカの挙句,生きたくなければそれでいい,的なことを言って家をでてしまい,少し後に帰宅してみるとレイアは自殺していた。



そういう負い目もあって,本物でなくても本物だと思うことにしたい,と思いが暴走。そこで自分はニセモノだから消し去ってほしいという彼女のほうがまともな判断である。



深遠なテーマと思わせておいて,意外とクリスの愛妻を失ったことによる喪失感,虚無感,後悔をソラリスが囲い込んでしまうという話のようでした。



クリスの記憶からレイアが生まれたのならば,彼女といることは過去の思い出のなかに閉じこもることです。それは,自分の人生を生きているとは言い難い。



レイアとの出会いや生活のシーンも予告なしにすっと入ってくるので,どれが過去のものか,どれが現在のものか,どれが想像のものか,混乱するように仕向けられています。こうなると,最初からすべてクリスの心象を見ているといえます。



<わたし>はどこにいるのか,誰かの記憶のなかでしか見つけられないものなのか。



クリスのこじれた愛とともに,これがテーマだったのかと思います。






2012/09/17

『ザ・ホークス ハワード・ヒュースを売った男』

The Hoax 2006年 116分










『フォーン・ブース』

Phone  Booth 2003年 81分



監督/ジョエル・シューマッカー
コリン・ファレル、キーファー・サザーランド、フォレスト・ウィテカー






『まほろ駅前多田便利軒』

2011年 日本



監督/大森立嗣
瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ、柄本佑、
梅沢昌代、大森南朋、松尾スズキ、麿赤兒、高良健吾



★★★★



いい男が二人ならんでいるだけでヨシヨシ、と。原作(三浦しをん)を読んだ時の、躍動感は抑えられて、どちらかというと二人の言い出せない事、言わないでいる事を感じながら、静かな画面だった。



途中、瑛太が走るところでスローモーションが使われたのですが、あれは余計なアレンジ。青春映像を目指したのだろうか・・・ 走れメロス的なアピールだったのだろうか。



どちらにしても、またそうでなかったとしても、うっとうしいアレンジでした。



だって、多田さんは普通の哀しみを心にもつ男なんだから、余計な手助け無用でござる。



高良健吾とのからみが少なく、いくつかあるエピソードのほんの一部になっていたのがもったいなかったかな。





2012/07/23

『時のかなたの恋人』ジュード・デヴロー

新潮文庫 4-10-247601-6



カテゴリ的にはロマンス部門。イギリスに旅行中のアメリカ人が、恋人とその娘に意地悪されてて、しくしく教会で泣いたら、目の前に騎士があられた、という。



ロマンス小説入門としては、なかなか面白く、きゅんとセツナイ恋物語で楽しく読んだ。



現代では、騎士が自分や一族の不名誉(濡れ衣)を晴らそうと歴史の痕跡を探り、ついで過去へも彼女がタイムスリップして、そもそもの不名誉を起こさぬよう画策するという・・・タイムパラドックスとかは無視です。



で、二人が熱く結ばれると、違う時代から来たほうは消えてしまうし、しばし違う時代に居たという痕跡も、消えてしまうのでした。あらー。
思い合えばあうほど、結ばれてはならない二人ってことで、じりじりと禁欲的なのでした。



騎士は<余の剣をもてい>レベルの話し方で、当時の習慣なども物語に織り込まれていて、案外面白かったのだ。
エリザベス朝の人なので、日本だと戦国時代くらいか。会話は通じるかなぁ 





この後、ロマンス部門に疎くても名前は知っているサンドラ・ブラウンの『侵入者』を読んで、↑こちらの禁欲ぶりとは違う系統にちょっと疲れた。



インディアンの血を引く脱獄囚(でも、収監された罪は濡れ衣!)と、人質で連れ出された深窓の令嬢が、あっという間に燃え上がってました・・・・



わたし、禁欲派がよかったな。



逃げられないように服を取られていても、犯人のステキポイントをチェックするとか、いついかなる時もセクスィレーダーが全開みたい。すごいー。すごいわー。



それにしても、ロマンス部門では、筋肉だの体毛だのが非常に重宝がられているのですねー。



筋肉はいいとして、体毛はそこまで詳細に褒め称えたことないわ。毛に手をくるくる遊ばせたい、とか。どの範囲に広がっているとか。ほへー。
しをんちゃん(三浦しをん)、こういうの読んで楽しむのかしら?



2作品を続けて読んで思ったのは、これは続けて読んではいかんということでした。規定路線のお話なので、連続だと飽きます。
たまに、恋ってステキとか言いながら読むくらいが、いいうっとり加減のようでした。









2012/07/18

『遠距離恋愛』

Going the Distance 2010年 アメリカ



監督/ナネット・バースタイン
ドリュー・バリモア、ジャスティン・ロング、チャーリー・デイ、ジェイソン・サダイキス



★★★☆



出会って、6週間後にはサンフランシスコに帰るから、本気にはならない、と言い合ったけれど、別れのときに、このまま別れるのはイヤと遠距離恋愛を選択した二人。



離れてるさみしさとか、どっちが自分の仕事をあきらめて相手のところへいくとか、段々シリアスな悩みになっていくのは、遠距離の定番。



けっこう笑った、楽しかった。しかし、相手役のジャスティン・ロングがなかなか<いい男>に見えなかったのが問題でした。



ドリューが、初めて見た時からすてきと思ってた、という場面があったのだけど、ど、どこが!ドリュー、付き合ってるからって(リアルでは交際してる同士らしい)それは無いと思うわ。peopleのリンクつけとくね。



しいて言えば、かわいい系なのかなぁ 真剣な話をしてるときは、案外いいかもと思ったんですが、声も渋くないし・・・ ドリューの趣味は広いってことで収めておきます。



遠距離恋愛中のひとは、元気になれるかも。あ、でも結局離れたままでは、どうにもならないというのは二人の結論だったので、そこから動けない人はつらいかもしれません。



この作品のドリュー、あんまり可愛くなかったのよ。老けた感じに見えて、お疲れ気味だったのかしら。衣装が地味だったからかな。もっとかわいいはずなのに、と思いながら観てしまいました。



赤いリップはお気に入りですよね、似合ってて羨ましい。ケバくならない赤リップ。







2012/07/16

『ハード・キャンディ』

Hard Candy 2006年 アメリカ



監督/デヴィッド・スレイド
パトリック・ウィルソン、エレン・ペイジ



★★★★



出会い系で知り合った32歳カメラマン(ジェフ)と、14歳のまだ子どもっぽさが残る少女(ヘイリー)。



カフェで話しているうちに、あるバンドのライブ音源があると誘いこみ、カメラマンの家にいくことに。ところが彼女のつくった飲み物を飲んでから、男の恐怖の時間がはじまった。



椅子にくくりつけられ、お前はペドフィリアだと言われ、自宅壁の少女たちの(いかがわしい感じらしい、この時点でははっきり画面に写ってない)写真をどうやって撮った、と脅される。



写真は芸術作品で、何もしてない、というジェフに対し、室内を探し回り、ついに証拠を発見。その少女は、どうもジェフのお気に入りらしい。



一度は逃げ出したものの、素直に警察にいけない事情もあってヘイリーに反撃しよとして、また返り討ち。
いろいろ攻防があり、後半は下半身に氷を着けられた状態で目が醒めるジェフ。危ない男だから去勢するといわれ、ウォッカで消毒、氷で麻酔のかわり、抜いた玉はキッチンのディスポーザー・・・



++++++++++++++++++++



殺さない、という割りに、最後は自殺を迫って実行させたり、ヘイリーと行方不明の少女との関係も分からない、と謎が残ったままであるが、密室劇として面白かった。



部屋ごとに壁の色が違っているシンプルな室内も、二人だけを際立たせます。



最初、少女への性的興味はないからと超さわやかに振舞うジェフの仮面が剝がれていくところとか、エレン・ペイジの子どもっぽさとオトナびたところが次々ミックスされて見えるところも見所ですね。



ジェフ役の方、『オペラ座の怪人』でラウル役した方で、途中で気がついて、あらあら~と。ラウル役のときの髪がへんてこだったのでイケメンと思えなかったけど、この役はなかなかいい感じでした。ケビン・コスナー風?



赤いフードを被って自殺させたジェフの家から出てくるヘイリー、狼を退治した赤ずきんちゃん、ということらしい。闇の仕置き人かしら。



ただ、変態野郎をやってやった!という爽快感がなく、ああ・・・自殺に追い込んだか、と抜けきらない気分です。
ジェフも法的に倫理的に問題ありですが、ヘイリーもなかなかの変態じみた言動をしているから。



どちらも、オカシイの。



あと、エレン・ペイジ恐るべしな作品でもあります。童顔の美人でもない彼女、しかし知性輝く女性という雰囲気があって、この先も楽しみです。



2012/07/07

『裏切りのサーカス』 邦題がかわいそすぎる。

Tinker Tailor Soldier Spy 2011年 英仏 (日本公開2012年)



監督/Tomas Alfredson
Gary Oidman, Colin Firth, Benedict Cumberbatch, Tom Hardy
John Hurt, Toby Jones, Mark Strong



★★★★★



とにかく、この邦題を誰がつけたのだ! かわいそうです、こんなにいい映画なのに。原題のままでいいじゃん、そのほうがカッコいいし、カタカナでも意味わかるし。ひどい、ひどいわ。



70年代、冷戦時代のスパイ映画でありながら古めかしくなりすぎず、かつ盛り上げすぎずの抑制のきいたサスペンス・・・風、いい男とスーツが存分に鑑賞できる映画。



リピーター割引があったのだから、やはり一度だけでは掴めなくて当然なのよね? なんとなく、『The usual suspects』のようなどんでん返しを期待して見ていたため、あれ?という感じで終幕を迎えてしまいました。



あと、わたし、人の名前を覚えるのが苦手なので、後半の事件の全容が見える段階での、矢継ぎ早な(って早口じゃなかったんですけれど)人名の羅列に、俺の脳みその処理の問題で、混乱したのもつらい。



というわけで、確かにもう一度見たくなるタイプの映画です。相関図を書けばいいのかしら?



++++ネタバレしてるから、見たくないひとはこのへんで++++



・ポール・スミスが担当してる衣装や持ち物が素敵。
ゲイリーがつけているメガネもいい(二つのメガネで、現在なのか過去の回想なのかが区別できるようになってます)



スーツは肩で着るんだなぁというのが、イギリス紳士のスーツの着こなしなんですね。スーツのおじさんが出ずっぱりの映画なので、目の保養にどうぞ。



しかし、部屋着というか普段着、カジュアルな衣装ももちろんポール・スミスで、コリン・ファースのセーター姿、宝物だわ・・・ 



ほぼオールイギリス人俳優なのも、画面の落ち着きがいい原因でしょうか。って、ゲイリーはアメリカ人だとばかり思ってたので驚いた。仕事の出来る紳士でした。いいね。



・B. カンバーバッチも出ていて、予想以上の活躍で嬉しい。BBCドラマ『シャーロック』では黒髪にしてるけど、本人は金髪なのね。



不思議なヘアスタイルだなぁと思っていたら、ゲイだったらしい。新人の女の子を口説くってのを、コリン・ファース演じるビル・ヘイドンと話してたのは、本心じゃなかったのか。ここのシーン、また見たいかも。
コリン・ファースの自信満々の顔もよかった。オデコにメガネ乗っけちゃうとか、何アピールだったんだろう。かわいいひと。



ってか、そのヘイドンもマーク・ストロング演じるプリドーと、何かあったっぽい
交際まではいかずとも、心の交流はあっただろう(すごくいい笑顔で二人が写っている写真があったの) ので、ヘイドンもゲイなのか。



ハンガリーで撃たれたブリドーを売ったのが、ヘイドンで。しかし命を助けて英国に戻したのも、ヘイドンであろう。そこが裏切りつつも、情があったところ。
でもって、最期がそのブリドーがソ連へ送られるヘイドンを狙撃するという・・・哀しい!



しょんぼりしてしくしく涙ぐむコリン・ファースに持ってかれたわ。



・トム・ハーディが実働部隊として登場。スーツ班とは違う汚れ仕事をする男で、ソ連の美女に恋する役なのがセツナイのであった。



彼女が死んでることを既に知っているゲイリー演じるスマイリーが、彼女を助けてくれ!と泣く彼に言わずにいることも、これまたイタタタ。作戦のために言わなかったのでしょうが、諜報部員たちはツライわ。



褒める点は山盛りで、実際のところサスペンス風味で、“もぐら”の謎解きが、一度でぱっと分からなくても、楽しめたというのがこの映画の持ち味かと思います。



音楽も抑制がきいたもので、センスよかったな。たまに流れる流行歌的なものも、うまいなぁ



枯れオヤジが冷静に、胸に悲しみを抱きつつ謎を解く。



スマイリーがサーカスのトップになって戻ってきたところでエンドだったので、続編もありかもしれません。また、カンバーバッチ君を出してくださいねー!



『僕を葬る』

Le Temps qui reste 2005年 フランス



監督/フランソワ・オゾン
メルヴィル・プボー、ジャンヌ・モロー、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、
クリスチャン・センゲワルド



★★★★



風景やカフェの風景がとてもきれい、主人公ロマン役の顔もきれい。恋人役もきれい。



末期がんを宣告されたイケてるファッションカメラマンのロマン(ゲイ)、家族とのビミョウな溝は埋められず、病気のことを告げられない。
同居していた無職の若い恋人のことは、もう興味がないと追い出す。



かつて、夫を亡くしたあとの自分を守るため息子をおいて家を出たという祖母(ジャンヌ・モロー)には、病を告白できた。なぜ私には話してくれるの? もうすぐ死ぬから。似ているとおもうからだよ。



仕事を休止し、酒びたりとなり、自ら捨てた恋人の就職活動の手伝いをこっそりとする。そして。不妊の夫婦のために協力し、生まれくるその子に自分の財産を譲る遺言を残し、1人の自分のまま死んでいくことを選ぶロマンの数ヶ月が描かれています。



ロマン役のプボーがやつれて痩せていくのは頑張ったねと思うけれど、映像がきれいなうえに、彼の顔がきれいなもので、癌患者の苦悩をひしひしと感じるまでは至らず。



」癌であることとは別に、衝突してばかりの姉とその子どもたちを、遠くから見つめて写真を撮るところなど、世界とのかかわり方が、何か見えない壁のなかから見ているようなロマンが印象的です。



オゾン監督って、映像はきれいだけど、人への態度が冷たいところが持ち味なのだろうか。女性にも意地悪目。いくつか見てるけど、他人を信用しない人が多く登場する気がします。



2012/06/24

『愛と誠』

2012年 日本 134分



監督/三池崇史
妻夫木聡、武井咲、斉藤工、大野いと、安藤サクラ、伊原剛志、一青窈、市村正親、加藤清史郎



★★★



あー、けっこう(思ってたより)面白かったな、と。喧嘩殺法!のセリフだけでも、来てよかったと思ったくらいにアホ映画でした。



間延びの印象があるのと、やはりヤンキー文化に興味がないが、全体としてはそれなりに面白かったので、★3つ。
劇場内は、わりと楽しく笑い声が上がっていて、ご機嫌で観れました。



金持ちと貧乏人、良い子と不良、という分かりやすい図式が身近にあった時代なのねと懐かしいというより、時代劇を観ているような気分に近いかも。



134分、ちょっと長かったけど、これでも原作のエピソードを削っているのでしょうね。
私は原作を全く知らないので、ヤンキー世界もネタにしか見えないという態度で観ていたのですが、原作世代には軽いものに思えるのかもと思います。



武井咲のまっすぐお嬢様演技が、血と泥まみれの画のなかで、白百合、または掃きだめに鶴、の目の保養です。
映画内では、誠を更生させるのが償い、と言ってますが、償いと愛は違うので、いつ愛になったのかなぁと思いながら観てました。一目ぼれってことにしておこうかな(適当で問題なさそうなストーリーだったから・・・)



私としては、久々の妻夫木くんが、カッコよい役だったのが収穫でした。ケンカっ早いが、強いので頼りになる!(弱いのにケンカすきは、ダメすぎてダメ)
あ? は? のほかは、フンと半笑いが多かったが、何をしても良かったなぁ



お嬢様や岩清水くんたちより、社会の暗部を知っているだろう誠が、母に会いに(復讐しに)東京に出てきた、というのが昭和的な泣かせどころでした。
やっと愛と誠が、向きあおうとするとき、非情な展開に・・・おお、典型的な悲恋に、知らないで観てた私、王道だと笑いそうになっていました。



淡い恋は、こうして美しい思い出になっていくのね。



斉藤工@岩清水くん、キモい・・・ いちおうイケメンのはずの斉藤工が、こんなにもキモ男になれるとは、素晴らしいです。



一青&市村 市村パパ、ひとりでミュージカル世界を繰り広げてくれました。本職だからね。一青ママはいい声で、マオカラーのドレスもよく似合っててきれいです。



安藤サクラ@ガム子 美人じゃないが、ふと見せる表情が良いすてきな女優。さすが血筋か。純情ガム子がなかなかよかった。



加藤清史郎、小柄だが良い役者だよー。ふてくされて立ってる姿、キマってました。



さて、カツラがいかにもヅラぽいのも、ズレた感じを出すための演出。



約40年近く前のコッテリ気味の話を今の世代にも受け入れてもらえるか、その答えが歌だったのではと友人の解説でした。
ヤンキーって都会じゃ死滅したのよね? さすがの北国でも最近は見かけないものねー。こんなオトナなんて!と純情に反抗してるヤンキー文化、いまじゃ笑えるものね。



なるほど!映画のつくりを、うそっぽくしたほうが、この物語をすんなり受け入れてくれるということね。



伊原剛志があまりのオッサンぶりに、現場で追加されたっぽい「オッサンに見える病」を告白。ひ、ひどいこじつけ! 



そして、ミュージカル風ということだったけれど、ミュージカルとはちょっと違う。
アニメやドラマで盛り上がったときに流れてくる主題歌、を出演者が歌ってるよ、という感覚に近いです。感情や物語に、イマイチ合ってない場合もあったので、そう感じるのだと思う。



岩清水くんの「空に太陽があるかぎり」はぴったりですが、トレイラーで使われてる誠の『激しい恋』の歌は、とても見せてくれたけれど、あの場面自体とは合いませんし。
(これラストに流れてほしかったよー、かりゆしなんとかじゃなくて)
でも、昭和の歌は歌い上げるの歌!よいですなー。



『ニッポンの書評』豊崎由美

ISBN:978-4-334-03619-5 光文社文庫(515) 2011年



★★★★



日本の書評について、書評を書く豊崎さんが考察などしている1冊。自分でもこうやって、読了メモを残しているので、プロの方の意気込みや現状が、ざーっとだけど見えてよい。



評論、批評、書評。どこが違うのか、私もぼんやりと考えていたところだが、豊崎由美いわく、大八車(小説)を後押しするもの、だそう。
映画界ならば、淀川長治のようになりたいと。



アラスジだけで終わる書評や、ネタバレ書評へは厳しい意見を持っているようです。私も同様に、最後まで書いてしまう書評は手抜き感と、デリカシーのなさにがっかりします。



日本の新聞・ファッション系雑誌の書評欄の小ささなどに対する意見も同意したいところ。
同じ出版社なのに、どうして書評に気持ちがむかないのか、などなど、毎号ついてる書評欄って確かにたいていは手抜きっぽくて、残念なことが多い。



『本の雑誌』書評欄がすきで、参考にすることも多いです。
その人よって評価が分かれるもののほうが、興味がわくことも多いので、同じ本を数人が書評するのも、もっと他のところで行えばいいのにね。





2012/06/17

『ナイト・トーキョー・デイ』

Map of the Sounds of Tokyo 2009年 スペイン



監督/イザベル・コイシュ
菊地凜子 セルジ・ロペス 田中泯 中原丈雄 榊英雄 あびる優



★★★



すきかキライかといえば、どちらでもなく、外国人からみたトーキョーの風景とか、トーキョーのイメージとか、日本人のイメージとか、それを楽しむのが面白かった。



冒頭が、女体盛りで、これは笑わそうとしているんだよね・・・??と思わず画面につぶやきつつ、笑ってしまう。もー、体温でマズそうなお寿司だなぁ



リュウ(菊地凜子)は築地で働きつつ、殺し屋の裏家業をもつ。



あるスペイン人と交際していたみどり(あびる優)が自殺してしまい、腑抜けになってしまった父・石田(榊英雄)のため、部下の長良(中原)が、リュウに依頼。



どんな男か偵察にいったら、ワインショップを営み、恋人に去られた苦しみを抱えるダビ(セルジ・ロペス)を好きになってしまうー。



なかなか殺してくれないので、依頼主がリュウに電話すると、いきなり怒り出すリュウ。前金を倍にして返すからいいじゃない!それが契約でしょ!



勝手である。



■古い日本の歌謡曲が流れるなか、マルセイユというラブホテルに入る二人。ドアを開けると、日本の電車内みたいな室内。イメクラ的な?



死んだ恋人がみどりっていうのも、ノルウェイの森かー、と。みどりとこんなことした、というダビにつきあって、電車内風ホテルでセックスする二人であった。



■リュウが、(たぶん)殺した相手の墓掃除に行くのが休日の趣味らしいのだけど、お墓磨くのは日本っぽいのかも。



■君がラーメンすする音が、私の母親のと似ているから録音させてほしい、と声をかけてからの付き合いの録音技師(田中)が、物語のナレーター役なのだけど、理由は全く分からない。



西欧の方は「すする音」って立ててはいけない音ということで、これまた異国感たっぷりエピソードでした。
田中泯の家が、縁側やらヨシズや、鉢がある庭、と庶民的な和の家の見本みたいな家で、それもまた日本人から見直すと定型的なのが面白かったりする。



■上司と部下なんだけど、肩にもたれてしまったり、部下の上司への行動がいきすぎてたり、すきなの?って言ってほしいのかと・・・ 日本は衆道があるからと入れてきた演出だろうか。これも笑える。



最後、殺し屋がしてくれないなら俺が!と部下が拳銃をもって築地で別れ話をしていたダビを撃ったところ、リュウが身代わりになって死んでしまいました。と。いちおう、恋の話だったのね。



菊地凜子の演技を初めてみたのですが、美人じゃないのにだんだん気になる表情に取り込まれますね。笑うとカワイイ、ツンデレ凛子さんでした。
ちなみに、セルジ・ロペスもちっとも美男人ではないけど、許せてくるのが面白い。



2012/06/09

『歓びを歌にのせて』

Så som i himmelen 2004年 スウェーデン



監督/Kay Pollak
Michael Nyqvist Helen Sjoholm Frida Hallgren



★★★★★



スウェーデン人って熱い人たち・・・? これまでのスウェーデン人イメージを覆す、熱い人たちの人生模様が。



重い心臓病を患った世界的指揮者のダニエルが、8年先まで埋まっていたすべての仕事をキャンセルして、7歳まで過ごした田舎町にやってきます。そこは、いじめにあった辛い記憶の村でもあったがー。



幼い頃のいじめられた記憶を抱えつつ、音楽で人の心を開く、という小さな頃からの夢を小さな村の聖歌隊と一緒に叶えていく物語。



なにせ小さな村なので、村の目とか、教会の牧師のぎすぎすした監視の目とか、きれいごとばかり言う牧師に我慢しているその妻、夫からのDVにあっている女性、奔放なつきあいを非難される女性、小さな頃からデブとからかわれて爆発する男性、などなど。



悲喜こもごもの生活があるなか、主人公のダニエルもまた優しいレナに惹かれていきます。人に愛され、人を愛すことを経験するダニエルは満たされた思いに。



オーストリアでの合唱コンクールに出場、いざ歌う順番になったとき、ダニエルを発作が遅い・・・ ステージ上で知らずにダニエルを待つメンバーは、それぞれの音を奏ではじめました。そして、会場にいる参加者たちも音を奏で、そこは人々の音で満ちたのでした。



スピーカーから流れてくるそのハーモニーを聞きながら、ダニエルは笑顔で目を閉じたのだった。たぶん、亡くなってしまったの。



はい。



お前がくるまでは俺が尊敬を集めていたのに!とダニエルに人気を取られて酒びたりで銃を持ち出す牧師など、怒るときの表情がいきなり頂点に達した!という感じでびっくりです。



こんなに熱い血が流れているのか・・・北国の人には。控えめで時間に厳格、わりとオープンに話す、というのが私のスウェーデンに対するイメージだったのですが、村マインドなのかしら? とにかく皆、熱かったです。



自然の風景もきれいでしたが、ダニエルが冬に村にやってきて、裸足で雪の上にたった気持ちは少し分かります。ずっと雪景色から離れて生活していても、北国育ちには静かな冬の景色が残っているのでしょう。痛いような寒さに笑顔になってしまうんですね。



地味な話ではあるのですが、スウェーデンの一部が見えるような映画で、よかったです。





2012/06/08

『アンチクライスト』

Antichrist 2009年



監督/Lars von Trier
Willem Dafoe/Charlotte Gainsbourg



★★★★



うーん、うーん、知恵熱が出そうだよ・・・ Dancer in the dark 以来ですが、こちらよりはずっと平常心で見れました。あれは気分が滅入ったな。



■まずは、キリスト教圏の人が感じるセックスへの嫌悪、女性が性を謳歌することへの嫌悪、それから悪魔というものの意味付け、全てがちっとも分かりませんでした。知識としては分かっているけれど、実感がないです。



自然は悪魔だなんて、かわいそうにねって思うわ。自然に死ぬから毎日の生が奇跡なのだと素直に思わないのですね。うーむ。
何もかもを、自分の行いのせいにしたり、悪魔のせいにしたり、意味を求めすぎです。って、このご夫婦には通じない感じですが。



自然対人間の図式で世界を捉えるところ、頑固だなぁと思う。私は、つまり日本人である私は、人間は自然の一部であって敵対関係とはみなしません。



残念でもあるし、分からなさが、私って日本人なのね・・・と自覚しきりというところ。
この文化圏に属す人と、属さない私はきっと全く違うものを映画から受け取っているのだろう。と思う。



カンヌでは、女性への嫌悪が非難されたそうですが、そんなの監督の好きにすればいいので、女性嫌悪が非難されるってけっこう政治的フェミニズムでは。



それに、女性を非難してるという印象は受けませんでした。むしろ、女性への捻じ曲がったファンタジーかもと思いました。痛すぎる表現だけど、政治的に抗議するなら、妻への無理解も非難されるべき問題かと。



セラピストである夫が、子供を事故でなくしたことへの自責の念で心が壊れていく妻を助けようとして、恐怖も克服できるし、全て理解できると、近代的な精神論を展開しているが、何だか偉そうなのだった。
自分は治せる、と自信満々で、治療じゃなくて一緒に苦しんで耐えて欲しかったに違いないのに。



キリスト処刑のように、穴をあけて、そこへ足枷のように砥石をボルトで固定したのは、妻からしたらお仕置きなのかしらと思いました。自然を恐れない、すべてコントロールできる気でいる夫への。



■公開時にあおってた、過激な性描写、ですが別に過激ではありません。というか、衝動があまりに本能的すぎてエロではないから。自分を痛めるけるための行為でした。



WOWOWだから、あのぼかしなのかなぁ(日本の上映はすべてこのぼかし入り?) 非常にしっかりとぼかしてくれたので、何がどうなったのかちっとも分からず、悲しい。
妻が何を傷つけて血を流したのか、ネットで確認したけれど(たぶん性器の一部とか)、大事なとこだから、ぼかされて大変に残念です。



■結局、夫はセラピスト失格のダメ押しで、妻の首にてをかけ、絞め殺してしまいました。どっちもどっちながら、総合的に見て、夫のほうが悪意があったと感じます。思い上がって妻の治療の邪魔をし、追い詰めたとも言えると思うので。



殺して、悪魔が復活しないように肉体を燃やしてしまいました。悪魔は妄想だと言い放ったくせに、信じてるんじゃん・・・夫。それって、恐怖心だよね。



■ラース・フォン・トリアー
うーむ、意地が悪いというか。陰気というか。ざっくりと<女はばかだ>というメッセージを感じずにはいられません。それは認めます。ダンサーインザダーク、でもそんな感じだったし。



なぜ、そういう方向の作品を作るのかが気になりますね。どうしたら、こんなに陰気な映画を作ろうと思うのか・・・













2012/06/07

『秒速5センチメートル』

2007年 63分



監督/新海誠



★★★★★



きゃー、キュンキュン映画だなぁ これは、過ぎ去ってしまったものを知っている世代には★では・・・? 



作品には、4点と思っていたら、三話目に『One More Time, One More Chance』がいきなり、めまぐるしく変わる思い出の数々があふれる画面とともに流れたときに、キュンボタンが大変なことにー。



まさよしの曲で攻めてくるなんて、どうしようもなく切ないに決まってるじゃないかー。このー、うまいぞ。
ざっくり言ってしまうと、『One More Time, One More Chance』の壮大なPVとも言えるような。



小学生-中学生、離れ離れの高校生、そして社会人となった二人。3つのエピソードで構成されています。



貴樹のような男子が実際にいたらハッキリさせろー、といらいらするのだろうけど、映画では自然の風景と、秒速5センチという言葉、どうしても近づかない二人がなんともキュンキュンでした。



東京から、佐野が遠いよな・・・っていう中学生の距離感が、まずキュンだわ。どんな寒い国に彼女が引越したのかと思ったら、栃木って! ほとんどお隣だよ! 



初恋ね・・・



思い出は美化されつつ、鹿児島と栃木の距離はあまりに巨大で、どちらが悪いわけではなく、手紙のやり取りが止まってしまう。



主人公の貴樹、そこにいるけれどそこに居ない。目の前で泣いている女の子を見ないで、連絡が途絶えた初恋の彼女を思っている。ばかばか。



そして、社会人となってがむしゃらに何かを得ようとするかのように、必死に働いて、そして戦線離脱(退職)。
そして同じ空のした、あのときの彼女は、結婚の準備をしているのだった。昔、渡せなかった手紙などを見つめながら。



これはハッピーエンドが主題ではなくて、求めるがあまり手にできないもの、<手にしたかもしれない幸福>というファンタジーへの渇望、といったところかと。
三話目が如実だったけど、心象風景に状況が分かる程度にセリフを入れた映像モノなので、最終的には良いも悪いもなく、貴樹の止まったままの心を見せられているとも言える。



記憶に足を取られて 次の場所を選べない♪



・・・キュンキュンだけど、それは<思い出すこと>がキュンキュンであって、次の場所を選べないようになると、切ない以上に、痛々しい。
これは、男子的にはキュンポイントなのかしら? 女子は、キュンしつつ、手を繋いでくれる人を選ぶもの。



貴樹が以前付き合った女性からは、1000回メールしても1センチくらいしか近づかなかった、とメールが届いていて、おお、村上春樹! 
「月に戻りなさい、君」(『ダンスダンスダンス』)ですね。



礼儀正しい少年像も、春樹作品の男の子たちを連想させます。比喩の清潔さとか、正しい感じとかも。社会人の貴樹が「やれやれ」とか言うんじゃないかと思ったわ。



ラスト、踏み切りが上がった先には、あの人はいなかった、というのを見届けてから、次の一歩を微笑みながら踏み出した貴樹を応援したい。



他の作品も、キュンキュンなのかなぁ 見てみたい。その手に入らなかったものを、本当に手に入れようとする戦いを描くようになってくれればいいのにな、新海さん。



2012/06/03

『メン・イン・ブラック 3』

Men In Black 3 (MIB3) 2012年 アメリカ



監督/Barry Sonnenfeld
Will Smith、Tommy Lee Jones、Josh Brolin、Emma Thompson



★★★★



面白かったー!



で、若き頃のKを演じたジョシュ・ブローリンが似すぎです!



仕草はおろか、声まで似てるんですけど(吹き替え部分とかあるのか?って思ったくらいだ)



タイムトラベルが絡むので、あれれ?と消化不良なところもありつつも、1-2-3と楽しい続編となって嬉しい。



Jがタイムジャンプしたあとも、Kなき世界にありながらKの記憶を持ったままだったことの理由に、<そこにいたんだ!>って言われてたのですが、
それならラストのボリス・ジ・アニマルがJと格闘してるときに、Kがタイムジャンプしたこと気づかずに倒されてしまうのが変かな?とか。



<Kに近づくな>といわれたのに、早速つかまるJ.でも、何で近づいてはいけないのか、イマイチはっきり分からないのも、消化不良ポイント。



ですが、まぁいいかな・・・と。



そう思わせるのは、主演の二人の面白さが貢献してます。おとぼけさんなところや、娯楽を見失わないところなど。



楽しかったし、コンビがより仲良くしてくれるので、ああ良かったよと思いながら映画館を出てきました。



音楽もいい。Danny Elfman 『チャーリーとチョコレート工場』の音楽も担当してたのか。ウンパルンパ♪も。
メインテーマが流れるなか、ブラックスーツでキメた男が歩いてくる。これだけで、気分があがります。











『十三人の刺客』

2010年 日本



監督/三池 崇史



役所広司、山田孝之、松形弘樹、沢村一樹、石垣佑麿、近藤公園、高岡蒼甫、
六角精児、浪岡一喜、伊原剛志、古田新太、窪田正孝、伊勢谷友介



稲垣吾郎、市村正親、光石研、内野聖陽、平幹二朗、松本幸四郎、
斉藤工、谷村美月、吹石恵、岸辺一徳



★★★★



はー、暴君(というか、異常者よね・・・吾郎ちゃん演じる斉韶、たぶん人生がつまらなくて残忍な<殺し>をしてる)であっても、将軍の異母兄弟であり、老中に内定していることから、表立って処分できないので →



役所広司に、暴君暗殺命令が出た。で、成し遂げる。それだけの話。



静かながらじりじりと怒りと溜め込んでいく前半。後半は爆発させて、血みどろの戦闘場面の連続。
というコントラストが気持ちよく、最近はテレビドラマの特番的映画が多いので、こういう気合の入った映画を観ると満足感が高い。



殺陣はアクションのためのアクションじゃなく、ひたすら200人以上の相手を13人が切りまくる体力仕事でした。わざとだろうけど、なかなか観てる私もぐったりの殺陣=40分間。
これで大分減ったんじゃ?と思っても、まだまだ出てくる家来でした。



これの稲垣吾郎がよかった、といろいろ聞いていたのですが、確かに良かった。きれいな顔して正論を言ってるような顔して、異常者っていう。似合います。



山田孝之は、こういう満たされない人物が似合う。何をしても満足しきれないっていう顔だ。



ウッチーが冒頭で出てきて(出演してるの忘れてた)きゃっ!って思った途端、自害してしまいました。でもカッコ良かったよう。



血みどろじたいは特に好きではないが、切ったら血が出るのは仕方ない。あまりに血のりがたっぷりのため、最後には血のにおいがしてきたヨ・・・うう。









『スーパー8』

Super 8 2011年 アメリカ



監督/J.J. Abrams



★★★★



懐かしい感じが満載、今の子供たちが見たら、わくわくするのかな。



E・T、グーニーズ、スタンド・バイ・ミー、そういう子供時代に訪れる、子供だけの冒険物語を思い出す。



’79年、ある町で起きた貨物列車と自動車の大事故。そこでは、子供たちがゾンビの自主映画を撮影中。
事故で貨物から飛び出てきた、たくさんの謎のキューブ状のもの、そして偶然に回ったままだったフィルムに映った巨大な生物の姿。
静かな田舎町には、軍が大量にやってきて町を占拠。住民は町から非難させられてしまう。



それぞれの子供は親との関係や、友人関係、あわい初恋、と何かしらの問題を抱えていて、この大事件を乗り越える中で、彼らも大きくなっていくのだった。



うむうむ。



謎の生物が・・・ちょこっとしか映らないけど、人間食べちゃうし、何だかねぇ ETほどじゃなくても、もう少し可愛げがほしいところだった。同情しにくいもの、食べちゃったら!



携帯もなくて、友人同士は無線で秘密の交信。ネットもないし。茶の間のテレビか新聞が情報源。遊ぶには、手も体もたくさん使ってたよねーと思う。



何度も観たいというものではないのだけれど、少年たちの子供なりの頑張りを応援しつつ、自分の子供時代をふと思い出す、という映画でした。



しかし、別のところでSF映画への消化不良気分になったな。『未知との遭遇』のような、映画史を飾るようなSF映画、しばらく観てないー。CGの技術が進化しても、結局、脚本が。



『抱きたいカンケイ』

No Strings Attached 2011年 アメリカ



監督/Ivan Reitman
Natalie Portman、Ashton Kutcher



★★★



研修医で永遠の愛を信じない、と公言するエマ(ナタリー・ポートマン)と、俳優の息子でドラマ脚本家を目指すアダム(アシュトン・カッチャー)。



何度か再会するうちに、セックス・フレンドにならないか?とエマが持ちかけて・・・ アダムは好意を持っているので、エマの提案にOKするが、好きな気持ちを我慢してカンケイを続けることが辛くなり・・・



と、分かりやすい男女のロマンチック・コメディってことでした。



ナタリー・・・美人だけど、リアルさが足りないところがあって、アシュトン・カッチャーの温かみのある笑顔と比べると、ちょっとアンバランスです。
ナタリー、可愛いんだけどね、小柄だしメリハリボディじゃないので、セックスフレンドよ!って絡んでると、ロリコン風味であった。アシュトンがまた、でかいし。



これは、アシュトンが可愛い!と鑑賞できればOKかと。いやー、ちょっとすくすく育ちすぎた感じが可愛い。







2012/05/05

『マルタの鷹』

The Maltese Falcon 1941年 アメリカ 101分



監督/ジョン・ヒューストン
ハンフリー・ボガード、メアリー・アスター、グラディス・ジョージ、ピーター・ローレ
バートン・マクレーン、リー・パトリック



★★★★



ふーん、ふーん。ハンフリー・ボガードが舘ひろし派閥(本当は逆だよ、舘ひろしがボギー風ってことだよね)に見えて、時々妙におかしさがこみ上げて来た。
ごめんね、ボギー、かっこよかったんだけど、今じゃこんなにカッコいい人っていないもので、まぼろし~?な気分なんだよ。



ダシール・ハメット原作ということで、前半はともかくラストの美女を警察に引き渡すあたりに、ハードボイルドの骨格がぐっと浮き上がって、痺れたわ。



ボギーは、顔のつくりがいい男ってわけではない・・・よね? とりあえずカタチは私の好みではないのだけれど、役のスペンサーはカッコつけてない男でありながら、行動がカッコいいい男、だ。頭も切れまくってる。
モテモテで、女性のあしらいも上手いのに、女に溺れないのねー。やるなぁ!



映画を見てて、ボギーはそれほど身長が高くないのねってことに気づく。ほう。美男子でもなく、大柄でもない男が、美女をめろめろにする・・・最高だわ。



この時代の映画を見るたびに、日本が清貧とか言ってたころのアメリカの豊かさを感じて切なくなります。で、なぜか今よりも<外国>ってことを強く感じますね。なぜだろう?
発音が時代がかってるからかな?





2012/05/04

『アビエイター』

The Aviator 2004年 アメリカ 169分



監督/マーティン・スコセッシ
レオナルド・ディカプリオ、ケイト・ブランシェット、ケイト・ベッキンセイル、アラン・アルダ、
アレック・ボールドウィン、イアン・ホルム、ジョン・C・ライリー



★★★★★



ディカプリオが出ていれば★は甘くなる・・・が、3時間近い上演時間のわりにスピード感があって、時代の雰囲気が分かりやすく。また、人物造形も単純すぎず複雑すぎず。
つまりポイントがブレずに物語が進行して視聴者にやさしい1本。



窮地に立たされる、つらい目にあうディカプリオは天下一品だわ。ママが助けてあげる!といいたくなります。裸で試写室に籠って、つめも髪も伸び放題でも、まだ何とかしてあげたくなる可愛さ! はー、好きな女性には甘えるところがまたキュンキュンでした。



1920年代~1950年代あたりの、アメリカンドリームの世界。ハワード・ヒューズについて何も知らなかったけれど、世界の富の半分を持つ、とまで言われたらしい。ひいー。



(金に糸目をつけないとは、このことか!)
『地獄の天使』制作費100万ドルって確か言ってたけど、この時代の100万ドルって今でも日本映画なら夢物語です。桁外れという言葉がホントにふさわしい破格のリッチマンですね・・・



ロケ中のキャサリン・ヘップバーンに会いにいくのに水上飛行機で迎えにいくわ、自宅のゴルフ場みたいなところに着陸するわ、わかりやすい大富豪っぷり。



柱になるのが3つのポイント。



1、超リッチな飛行機オタクの青年が、夢のため時にタガが外れたかのような猛進ぶりで航空界の新しい道を開いていく爽快さ。
最高時速更新、大きさが最大の飛行機の設計、大西洋航路に打って出る強気さ。



空を飛び、スピードを怖がらないハワードの振る舞いが、ああ、この人ちょっとズレてるんだなって思います。



2、幼い頃に母から植え付けれらた<世界はバイキンで満ちている、安全なところはない>が、社会との軋轢とあいまって、彼の中で増幅してバイキン恐怖に襲われていくさま。



母が使ったものと同じ石鹸を正装時もポケットに持ち歩き、プレッシャーで心が押しつぶされそうになると、手を洗うことで消そうとする行為。とても痛々しい。



付随して、自分のなかの決め事がおおい脅迫神経症的なふるまい。生々しい肉は食べず、他人と皿を共有せす、酒は飲まずに蓋つき牛乳を飲み、タバコも吸わない(嫌悪している節があった)
どれも、子供時代にきっと母親から教育されたことと推察されます。



3、不潔を嫌うけれど、心の安らぎを女性に求める女好きの面。



キャサリン・ヘップバーン、エヴァ・ガードナーとの交際、巨乳好きってのが可愛いポイントであり、子供のまま大人になってしまったようなハワードを映します。
子供っぽさと経営者として大人の世界に生きる面の、バランスが欠けた感じでした。



映画では、戦後、軍から依頼を受けた航空機を納品していないことを横領だということで、公聴会に引きずり出されるものの、思いのたけを素直にぶつけまくり、反対に議長をやり込め、巨大な<ハーキュリー>の試験飛行に成功を収めるところで終幕となっています。



気になって、その後のハワード・ヒューズの人生を調べると、精神の安定を欠くことが続き、居室にしたホテルの部屋でなくなったそうです。



そこそこが幸せ、ともいえるけれど、これだけの財力と容姿(長身のいい男)で当時の輝ける大女優たちとつきあって、好きな飛行機にのめりこんだ人生、傍目で見る分には波乱万丈で興味のわく人生でした。



バランスを欠いた人って、友達にはなれないかもしれないけれど、面白いのだった。
そして、その素材が飛行機っていうのが、夢いっぱい。今だとマイクロソフトとかアップルとか、IT関連のリッチマンの話が多いけれど、飛行機野郎というのが古きよき時代、現実に手触りがあった頃のお話なのでした。





2012/04/28

『ブラック・スワン』

Black Swan 2010年



監督/ダーレン・アロノフスキー
ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセル、ミラ・キュニス、
バーバラ・ハーシー、ウィノナ・ライダー



★★★★



友人に、見てー!と言われたので見てみた。バレリーナ、ニナの追い詰められていく様子が、想像できる範囲での身体的な痛みで表現され続ける、逆剥け地獄・・・!ギャー!



物語は、あ、そういうラストにしたのね。残念だよ、ママから解放されて、自立して黒い羽で羽ばたくのかと思ったら、羽ばたいたが命を落としてしまったー。おお。



じりじりじりじりっと不安がつのって押しつぶされそうになっていくばかりのニナの心情に、付き合って行かされる2時間。疲れているときには見れません。



ナタリーが頑張ったね、賞賛をおくります。



舞台メイクもクールでステキ。衣装もゴテゴテしてなくてよかったな。
ニナがステキなドレスの上に、いつものまじめな女学生コート(しかもピンク)を着るとこなど、徹底してニナが子供として扱われ、自分でも子供だと思っている痛々しさが、たまりません。



だけど、肉体を使うパフォーマーであれば、ニナの位置にいくまでにも散々ライバル関係のなかでもまれているのではないかと思ってしまったけれど、4羽の白鳥のひとりと、プリマはまったく違うものだということなのですね。



たまたまニナがバレリーナだったけれど、基本的にはバレエの話ではなくて、娘に自分の夢を追いかぶせながらも、娘が自分よりも高い評価を受けることを憎む、毒親と娘の物語であります。
ママが1番怖かった。



黒鳥だけでもよいから、もっとダンスシーンを入れてほしかったなぁ



あと、ウィノナ・ライダーが物語とは別のところで、配役の時点で痛々しく。いっそ、ドスの効いたうらぶれたオバちゃん役で、再ブレークとか期待したい。



『ふたりの5つの分かれ路』

5×2 フランス 2004年



監督/フランソワ・オゾン
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ステファン・フレイス



★★★★



いいか悪いかっていうより、ああ、すれ違う心の動きがたまらない。



冒頭で、離婚手続きをしている夫婦の、ある時期ごとに短編風に切り取って、過去へとさかのぼるスタイル。



倦怠期、出産、結婚式、出会い。



最初の場面での夫ジルのレイプまがいの行動が許せなくて、というか、私はコレで、ジル=最低な男だと烙印を押してその後のエピソードを見ることになった。あ、だけど、どの時期も妻マリオンから見た夫は、いまいちダメ男なのだった。



乱交パーティーでの出来事を嬉しそうに語る。



異常分娩となったのに病院に来ない上に、生まれてから到着したかと思ったら、保育器のなかの弱々しいわが子にどう接していいか分からず、また逃げ出す。マリオン、あきらめるの早いって!



結婚式の後、ホテルにもどったら疲れて寝てしまってた。・・・これは残念だけど、仕方ないかもだな。ダメじゃないけど、根性なしって感じだ。



出会いのとき。ジルは当時の恋人とリゾート地に来てるのに、ひとりで旅行に来ていたマリオンに気持ちが動いて、いい感じになる。すぐ目移りするんだな。



というわけで、誠意の薄い男なのだった。



お互いに求めるものがすれ違い、怒りやあきらめを体にためていく様子が哀しい。が、こういう事ってホントあるよね、とも思う。



オゾン監督、意地悪よね。意地悪さを、いいときも悪いときもあるしさ、っていう言い方で見せているように感じました。



教会で挙式しないフランス人の、民法による婚姻の手続きが興味深かったです。民法の条項を読み上げてもらうのですが、契約なのだなぁと面白かった。



2012/04/14

『バレンタインデー』

VALENTINE'S DAY 2010年



監督/ゲイリー・マーシャル
ジェシカ・アルバ、、ジェニファー・ガーナー、アン・ハサウェイ、クィーン・ラティファ、テイラー・スウィフト、ジュリア・ロバーツ、キャシー・ベイツ、シャーリー・マクレーン
アシュトン・カッチャー、ブラッドリー・クーパー、エリック・デイン、パトリック・デンプシー、ジェイミー・フォックス、トファー・グレイス、テイラー・ローロナー



★★★☆



けっこう好みの顔が並んだので、3.5点。



話はだいたい想像した通り、見る前から分かるような展開の、バレンタイン@LAの群像劇。出演者たちは、どこかしらでつながりがあるのだけれど、『ラブ・アクチュアリー』のほうが、ぐっとくる人間模様でした。



アシュトン・カッチャーと、親友のジェニファー・ガーナーの2人が軸になっています。出演者が好きなら楽しめるんじゃないかと・・・



ジェシカ・アルバとジュリア・ロバーツはおまけみたいに出演。なんかジェシカにオーラなかったんですが、気が乗らなかったのかしら。



アシュトン、可愛いよねぇ 好みとは違うけど、無駄にデカイなぁという感じが可愛いんだと思う。





『プール』


2009年 日本



監督/大森美香
小林聡美、伽奈、加瀬亮、もたいまさこ、シッテイチャイ・コンピラ



★★★★



見てる間は、ふーん、ふーん、と思っていたけれど、見終わってみると楽園のようなゲストハウスの中に自分も入ってみたいなぁという余韻がふんわりと残る。



小林聡美へ、と娘から(伽奈)の<ほうって置かれた>という言葉のほかには、はっきりと誰も心の中は言わない。言わないけれど、それぞれに思って、それぞれに悩んでいるのよね、と沁み出でてくる。
自分の好きなことをしたほうがいい、という母親に、好きなことがしたいから自分を捨てたのかとたずねる娘。



私に娘はいないけれど、自分の好きなことだけしたいのはすごく分かるので、母親の立場って大きくて困難よのう、とドッキリ。反面。母親は自分(娘)を捨てるべきじゃない、ってのも分かるし。



楽園のようなゲストハウスの中、あ、これは母の世界・・・美味しいご飯も出てきて、安全で安定しているかのような世界で。



娘視点で言えば、祖母に預けれらたことを乗り越えられずにいたのを、本人に気持ちを伝えることで絡めとられていたところから、一歩外に出た、というあたりで映画は終わりました。



ところで見るたびに思うけど、もたいまさこって、全部知ってそうで微笑んでいるのに、実は腹の底が深そうに見える。静かな人ほど、怒ると怖いだろうっていうのと似てるか。



監督の好みらしいけど、人物の顔アップがないので、じらされてる気分でした。カメラは少し離れて、彼らの日常を映します。タイ人の子の顔、もっと見たかったのに。
美味しそうなご飯も、母娘が一緒に食べないので、遠くから見るだけー。フードコーディネーター飯島さんのお仕事が、ああ、もったいない!







『しあわせの雨傘』

Potiche 2010年 フランス



監督/フランソワーズ・オソン
カトリーヌ・ドヌーブ、ジェラール・ドバルデュー、ファブリス・ルキーニ、カリン・ヴィアール



★★★



傘工場の創業者の娘である、ドヌーブは会社を継いだ夫から飾り壺だとないがしろにされながら、2人の子供を育てあげ、いまは裕福な奥様として振舞っている。



労働環境の改善要求が盛り上がり、スト決行のさなか夫が倒れた。彼女は、創業者娘、現社長夫人として<夫がもどるまでの間>会社を運営することに。



明るく前向きな女性、というキャラのドヌーブはこの年でもキレイな人だなぁ・・と。かつて関係を持ったことのある、車を修理してくれた労働者の男=今は政治家、の助けや、家族の助けをうけ、工場も経営回復。



ついに、夫を放り出し、離婚するわ、と言い、議員になる!と選挙に出て当選。



ざっくり言えば主婦のサクセスストーリーだけど、がつがつした感じがないのが、監督の趣味とドヌーブの上品さでしょう。
トラックをヒッチハイクして乗り込むときの、足の美しさったら。



子供に対する態度も、ママらしいのだけれど、同時に別の人格を持った人間同士であるという線引きをするのが、フランスの親子関係なのか。



息子の父親が誰か? 候補がありすぎるのもスゴイわね、ってところ。いかにも、フランス的な展開です。



★3つなのは、どうにも展開がもっさりとしてたのと、邦題のせいで<傘>への期待がありすぎたせい。傘といえば、当然『シェルブール』なのですが、傘のステキな映像がちょっとしかなくて、案外がっかりしてしまった。
原題の意味は、<壺> お飾りの女、ということです。






2012/04/08

『スクール・オブ・ロック』

School of Rock 2003年 アメリカ



監督/リチャード・リンクレイター
ジャック・ブラック、ジョーン・キューザック、マイク・ホワイト



★★



ううーん。これは・・・ ジャック・ブラックの魅力も不十分で、ストーリー展開も浅くてつるつるしすぎ。小学生向けの映画。



オトナがみ見ると、ストーリーの流れとは別に、ジャック・ブラックも友人も痛すぎます。大人がロックに熱中しててもいいんですが、その言い分が子供じみてて、薄っぺらすぎました。



最後まで見たら、いきなり盛り上がるのかなぁとわずかな望みを託していたけど、ダメでした。



『昼顔』

Belle de jour 1967年 フランス/イタリア



監督/ルイス・ブニュエル
カトリーヌ・ドヌーブ、ジャン・ソレル、ミシェル・ピコリ、ジュヌヴィエーヴ・パージュ、
フランソワーズ・ファビアン、ピエール・クレマンティ



★★★★



■ドヌーブ様が美しすぎました。高慢なブルジョワ!を体現してくれるカトリーヌ・ドヌーブ様~
衣装が素敵で、エナメル黒トレンチとか、けっこう刺激的なところも。きちんと仕立てのいい服を、着こなすドヌーブを見れればそれでかなり満足。



やせているので、クールな表情を見てると爬虫類の冷たさを感じました。



60年代の女性の立場というのがパリであってもこのくらいだったのかな?と不思議になりましたが、育ちがいいからというのもあるのか。男はいい気なもんですね。



■優しい医者の夫と不自由ないセレブ生活を送るセブリーヌ(23歳の設定におののく。どう見ても20代後半の落ち着き、さすがフランス女優は貫禄があっていいわ)は、夫との夫婦生活を拒否してます。
とても愛しているけれど、ダメなの・・・と、これは病気であるっていう解釈をしてるみたいですね。ふむ。



ただ、夢や妄想ではメス豚!スベタ!ブルジョワ女!などと、罵られてみたり、夫の手で御者のおっさんたちに鞭打たれて犯されたり。おお、けっこう屈折してそう。
表向きの<上品で美しい貞淑な妻>イメージからの逃亡のように感じたな。セルフイメージを抜け出したい、というもがきのよう。



映像に挟み込まれる彼女の少女時代に、なにやらトラウマの原因がありそうでしたが、そこは一瞬だけで、あまり重視されていません。



■貞淑な妻は、実は高級娼婦だった、というあらすじ説明は違うな。こういう物言いは、男目線かと。



自分の体や自分の官能に気づいていく女性の話として、見ました。貞淑な妻が妄想しててもいいと思うもの。



ラスト、娼婦の彼女に執心して自宅に押しかけて、悪いのは夫だ!と夫を銃で撃ってしまいました。で、犯人は逃走中に警官にみつかってやはり撃たれて死亡。



え?? 



全身麻痺となった夫を、自宅で甲斐甲斐しい介護をするセブリーヌ。自分のせいでこんなことになったのに、何だか楽しそう。女はコワイ。



ラストの夫の超快復は、彼女の妄想の一部でしょう。今までの妄想には、愛してるはずの夫は登場しなかったので、セブリーヌとしてはやっと夫を受け入れられるようになった、が、遅かった、という皮肉まじりかなと。



2012/04/02

『アジャストメント』

The Adjustment Bureau 2011年 アメリカ



監督/ジョージ・ノルフィ 原作/フィリップ・K・ディック



マット・デイモン、エミリー・ブラント、アンソニー・マッキー、ジョン・スラッテリー、



★★★



美しくスーツと帽子をレトロな雰囲気で着こなす組織の男たちと、マット・デイモンの頑張りで★3つ。エミリ・ブラントもキレイです。



壮大なようで、ものすごく個人的な物語。組織が何なのかもすぐに明らかになるので、何に向かって主人公が抵抗するのかが丸見えに・・・ 



運命よりも、愛が勝つのだろうとすぐに思えてしまう流れは、ハリウッド映画ならば分かるのだし。



というわけで、予定調和的な進行となり、後半に見せ場のはずの扉を開けると離れた別の部屋につながっている逃亡場面も、なんだかつまらなく見えるのであった。残念。



これは、読んでないけど原作のほうが面白いんじゃないかと思います。







『婚前特急』

2011年 日本 



監督/前田弘二 脚本/高田亮 前田弘二



吉高由里子、浜野謙太、杏、石橋杏奈、青木崇高、吉村卓也、吉岡睦雄、宇野祥平、白川和子、榎木孝明、加瀬亮



★★★★



・・・メインのチエ(吉高由里子)と、田無(浜野謙太)が悪人ではないが、モラルが欠けた最低な感じのお二人で、あまりに最低で笑ってみるしかない。



なのに、吉高由里子が、役の性格はともかく、可愛いのだ・・・ 似たもの同士、お似合いの2人が結婚ってことで、ああ良かったね・・・Hpppy Ever After??を祈るよって思いました。



友達には決してなれないでしょう。



甘えたいときはコレ、愚痴を聞いてほしいときはコレ、って感じで5人の男を手玉にとっているつもりのチエちゃんだが、まぁ他人から見れば、お互い様であって、チエちゃんも都合のいいように使われてたりする(本人はそうじゃないと思っている)のが、ばかなのだった。※だけど可愛い・・・吉高めー。かわいい。



吉高かわいー、あははー、とDVDで見ればいいと思います。



疑問は。なぜ婚前特急という題名なんだろう? なにかにひっかけてる?





2012/03/25

『隠れた脳』シャンカール・ヴェダンタム

ISBN:978-4772695251 インターシフト 2011年



★★★



本人に意識されない脳の働き、思考や行動に強い影響を与える、いわば<隠れた脳>がもたらす、バイアスについて書かれたもの。



素人に理解しやすい言葉で書かれていて、読みやすい。



すべて意識して選択し、行動していると思い込んでいる生活に、どれほどの強いバイアスが影響するかについて実例を挙げて書いています。



レイプの被害者が、目の前にいた犯人を間違えてしまい、冤罪を生んだこと。
犯罪の現場に居合わせた多数の人が、誰も被害者を助けようと動かなかったこと。
災害やテロの現場で、当事者が避難すべきときに、しなかったわけ。
人種差別が生まれるわけ、可能性について。



などなど。
おきること全てをいちいち確認していたら、生活が成り立たない。が、あまり意識せずとも出来ることは、隠れた脳が担当しているという。
周りと同調したがり、問題を早く解決したがる隠れた脳の働きによって、本人も気づかないうちに間違いを犯していることが多いのだと指摘しています。



自分がいま思考したこと、意識て行っていると思い込んでいることは、もしかして脳のバイアスが影響しているのかもしれない、と検証してみることが出来れば、少しはマシな判断ができるかもしれないのですね。






2012/03/23

『ザ・インターネット』

The Net 1995年 114分



監督/アーウィン・ウィンスラー
サンドラ・ブロック、ジェレミー・ノーサス、デニス・ミラー、ダイアン・ベーカー



★★★



面白かったわぁ いろんな意味で。
インターネットが普及し始めたほんの最初の頃のネットの話。
(ちなみに、1995年だと、私は一太郎使ってたね。パソコンじゃなくて、ワープロで卒論書いてた。ネットじゃなくて、パソ通って感じだったと思うわ・・・遠い目)



テロ組織が探しまくるのが、3.5インチのフロッピーディスク・・・フロッピーディスクに入るだけの情報で、犯罪の証拠が全部入ってった(ほんとか?信じられないなぁぁ)



サンドラ・ブロックは、いつもの巻き混まれちゃう、テンパリ気味のいい子で、美脚も見せてくれます(彼女の足、きれい)



テロリスト、なのかな・・・ セキュリティシステムを販売する会社が、銀行や政府機関、航空管制をハッキングして、おお、セキュリティシステムを導入せねば!と自社製品を買わせる。



しかし、その製品にはこっそり穴があって、テロリストたちは導入した会社や組織に入り放題になる、という筋書きでした。



他の人が穴を見つけてくれるだろうに、などと思うけれど、1995年の私には分からなかったような気がします。



携帯電話にはアンテナついてるし、ネットに繋ぐときはジージー鳴ってるー。なつかしい。
コンピュータで生活するようになるのは今も同じながら、すごく高度に、ハンディで、素人でも使えるものになってたのだなぁ



今日、iphne4のCMで、音声で「ママからのメールは?」「今日の○○社との予定は・・・」などというと、iphoneが音声で答えてくれる(もちろん文字でも表示されてるけど)のが流れてて、
HAL9000がついに家庭に来たような衝撃ー。







2012/03/18

『ヘンリー五世』

Henry V 1989年 イギリス



監督/ケネス・ブラナー
ケネス・ブラナー、ポール・スコフィールド、イアン・ホルム、デレク・ジャコビ
ジュディ・デンチ、エマ・トンプソン、リチャード・ブライアーズ、
ロビー・コルトレーン、クリスチャン・ベール



★★★★



現代の人である語り手が、シェイクスピア劇を案内していく形式で、場面が変わるポイントで数回登場する。ので、シェイクスピアの劇の台詞が時代がかっていることに違和感なく見れた。



ケネス・ブラナーが若くて、ほんとにケネス・ブラナーかな・・・と思うくらい。他の出演者も、みな若いなぁ



イギリス人からみるフランス人のプロトタイプってこういうものなのか? 服装が英国側の数倍きれいなのであった。英国人っていうのは、垢抜けないのが信条なのかもしれない。泥臭く、男くさいのが武人の誉れなのかしら。



<聖クリスピンの祭日の演説>も、文章でも意気が上がるものだけれど、発声してるのをみると、ますます鼓舞されますね・・・ まさに劇的な場面でした。



原本は読んでいないものの、けっこう端折って物語が進行しているようでした。上演してるものも見たくなるような、演劇的な映画です。







2012/03/17

『(500)日のサマー』

(500) Days of Summer 2009年 アメリカ



監督/マーク・ウェブ

ジョゼフ・ゴードン=レヴィット、ズーイー・デシャネル



★★★☆



映画そのものは、うーん、うーん、不完全燃焼の気分がもやっと残るけれど、ジョゼフ・ゴードン=レヴィットが、ど真ん中ストライクの容貌で、見てる間、とても幸せだった・・・



男女関係って、というか、たぶん男側からみた女って、こういう理不尽さを振りまく存在なんだろうなぁ
多かれ少なかれ、サマーみたいなことを言ったりしたり、経験あるもの。



つきあってるとか決め付けたくない、楽しいんだからいいじゃないか、とか。
自分からどうする?って聞いたのに、自分の思う答えじゃなかったら拒否するとか。



よくある失恋話なのだけど、500日、と区切って時間が前にいったり後にいったりするので、飽きずに見てました。



あと、衣装が可愛い! アニメーションが一部入る演出も、ファンシーで好み。恋はファンシーってか・・・








2012/01/01

『ふむふむ おしえて、お仕事!』三浦しおん

ISBN:978-4104541072 2011年 新潮社



★★★



特殊技能をもって働く女性へのインタビュー。



靴職人、ビール職人、染織家、活版技師、女流義太夫三味線、漫画アシスタント、フラワー
デザイナー、コーディネーター、動物園飼育係、大学研究員、フィギュア企画開発、現場監督、ウエイトリフティング選手、お土産屋、編集者



相手を型にはめたような見方をせず、たまに単刀直入に質問していて、ひとりひとりの紙幅はそれほど多くはないのだが、何となく人となりが見えるよう。



著者の得意分野=興味のある対象では、とくにキラキラしながら聞いていたのだろうという感触です。ふむふむ。



一途に目指した方もいれば、何となくの方もいて、出会ったお仕事と自分がうまく合うかはやってみなければ分からないものと、つくつぐ思います。
これから社会に出ようという時に読むと、また規定路線じゃなくても大丈夫って気になれるかも。



それぞれ数枚の写真が掲載されているが、モノクロなのが惜しい。もっと大きくてカラーが良かった。





『うほほいシネクラブ』内田樹

ISBN:978-4-16-660826-3 文春新書 2011年 文芸春秋



★★★★



第1章 2004-2008年まで読売新聞「エピス」に書いた映画評=うほほいシネクラブ
第2章 「街場の映画論」 著者のブログとその他の寄稿から映画関連のものを。
第3章 「小津安二郎断想」 小津安二郎DVDブックに掲載したもの。
第4章 1998-2003年 著者のHPに書き続けたもの。



アレ見た?見たよー、というときの映画の感想レベルから、構造論な映画評まで。映像作品を、文学的な言葉と評論方法で述べています。



映画は、映画について語られることを欲望しているジャンるである」との持論をお持ちだそうで、確かに映画もバックステージものが多いジャンルであるし、役者は役者であることを役柄と同時に表現しています。



わりと気楽に書いているものも多いので、気になる作品のタイトルを拾い読みしてもよし、じっくり映画論について思いをはせてもよし。



気に入ったのは、織田裕二がけっこう好き、と書いてたとこ。なぜかといえば、からっぽの役者であるから、と述べています。自己主張すべきものを持たない役者ではないか、との評価。私も織田裕二が好きで、からっぽ、のところでそういう言い方があったか!と膝を打った。
アレだけ濃いタイプなのに、思いっきり外面で攻めてくるのが気持ちいいのだ。



それから、レオナルド・ディカプリオが素敵だ、とも。先生、私と好みが似てるのかしら。



小津安二郎について大人の態度を学んだとのことだが、読んでいるとちょっとヤダなぁと感じました。昔の男って、きっとイヤだと思う。イヤなやつと思いながら見るのも一興か?